■しおさいトンネルと法塔
道道を小谷石に向かうと二つのトンネルがあります。二つ目のトンネルがしおさいトンネルで、平成9年(1997)に開通しました。このトンネルの海側は狐越(きつねごえ)岬と言って、そこに沿って旧道が通っていました。
この道路脇に「南無妙法蓮華経」と刻まれた塔が建っています。この塔は昭和2年(1927)に建てられたものです。明治41年(1908)にこの先の影泊(かげどまり)沖で大しけのため沈没し、19名の死者を出した咸応丸(かんのうまる)の慰霊のための塔といわれています。
また別の説では、当時涌元で漁場を経営していた上磯の種田久四郎という人が、地元の人々と相談し、豊漁が続いた鰯(いわし)や鱒(ます)などの魚の供養のために建てたものとも言われます。種田久四郎は熱心な日蓮宗信徒で、この塔はさらに沖合いの岩礁(がんしょう)に建てられましたが、昭和19年に大しけで倒壊したのを、こちらも熱心な日蓮宗信者だった涌元小学校教師の郡浜恒太郎によって今の場所に再建されました。
道路が改良され、今は通ることのなく走りやすい道になりましたが、当時の様子を残すものとしてひっそりと建っています。
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