背中が曲がらないために
外来や街中で、背中が曲がってしまっている患者さんをしばしば見かけます。前かがみの方向に背中が曲がってしまうことを後弯(こうわん)症といいます。後弯症の原因は背骨の骨折や椎間板、靭帯(じんたい)の加齢影変化、筋力低下などがあります。後弯症は背中や腰の痛みの原因となることや、悪くなると肺機能や胃腸の障害を引き起こし、生存率にも影響するといわれており避けたいものです。背骨の骨折は、骨粗しょう症に伴い起こるものが多く、適切な骨粗しょう症治療を受けることは後弯症の予防にとても重要です。また、既存の骨折の有無にかかわらず、後弯症の予防、改善に有効な方法があります。それは筋肉トレーニングです。背中を支える筋肉には腹筋と背筋がありますが、腹筋の筋肉トレーニングには後弯症の改善効果は乏しいため、重要なのは背筋です。トレーニングの一つを紹介します。うつぶせになり、おなかの下に枕を入れます。その姿勢で腕を使わず胸と頭を浮かして5秒維持しましょう。1日10回を週に5日程度できるとよいです。この姿勢をとるのもつらいようでしたら外来で医師に相談してみましょう。また筋力をつけるためには適切な栄養も必要で肉や魚、大豆などのタンパク質が重要です。
背筋が伸びると視界も開けて気分もよくなります。ぜひ取り入れてみてください。
〔執筆者紹介〕
美唄市医師会・中井慶一
北海道せき損センター 整形外科部長
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