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■物流の「2024年問題」を考える
テレビや新聞で見聞きする「2024年問題」は、世間で騒がれているほど実感している消費者は少ないかもしれませんが、この2024年問題は消費生活にどのように関わるものなのか消費者協会調査部で調べてみました。
▽2024年問題とは
働き方改革関連法案によって、2024年からトラックドライバーの時間外労働(残業時間)の上限が年間960時間に制限され、トラックドライバー1人当たりの走行距離が短くなり、長距離輸送や配送業務の運行に支障が生じ、物流量を維持することが難しくなり、「物流の2024年問題」と言われています。
▽2024年問題 何も対策をとらなかったら
働き方改革を推し進めることにより、物流が停滞するという物流の2024年問題に対して、このまま何も対策を講じなければ、全国の輸送力が、2024年度は約14.2%(4億トン相当)、2030年度には約34.1%(9億トン相当)が不足すると試算されており、社会全般に影響が及ぶものと考えられています。
・野菜や青果類、水産物など、鮮度が重要な生鮮品の物流が滞る
・製品の原料となる材料、部品・機械などの調達が円滑にゆかなくなる
・卸売店から小売店への商品の配送が遅延し、商品が品薄になる
・通信販売などの宅配が、現在のサービス内容の維持が困難になる
▽消費者にできること
この2024年問題は、消費者も「物流の危機」に意識を向けるきっかけになりました。
商品が生産され消費者の手元に届くまでの一連の流れを「サプライチェーン」と言い、「原材料調達→製造→物流→販売→消費者」に至る道のりの中で物流が担う役割は大きく、私たちの求める商品が大勢の人々の手を経て届けられていることに思いをめぐらせることも必要です。
私たちが利用する宅配便は、インターネットなどで商品を申し込めば、短期間で宅配事業者が荷物を届けてくれる便利なサービスですが、配達時の不在などによる再配達は、宅配ドライバーや宅配システム全般にとって大きな負担になっています。
私たちの生活に重要な役割をはたす物流システムを持続させてゆくためにも、消費者一人一人の考えや行動が重要になると言われています。
・確実に受け取れる配達日を指定し、配達時間には必ず在宅する
・在宅日の予定が変更となる場合は、事前に宅配業者に連絡する
・複数の商品はまとめて注文して配達してもらう
・置き配・宅配ボックスや、コンビニでの受取りなども利用する
・なるべく地元から購入し地産地消に心がけるなど、物流負荷の軽減に協力する
▽参考資料
・消費者庁HP「物流の2024年問題と送料無料表示について」
・公益社団法人全国トラック協会HP「知っていますか?物流の2024年問題」
・日本生命保険相互会社HP新社会人のための経済学コラム「いよいよ迫る物流の2024年問題。消費者が今日からできることは?」
編集・発行:芽室消費者協会
開設時間:平日9時~17時
【電話・FAX】62-9000【E-mail】mesyokyo@chorus.ocn.ne.jp
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