「卒業生を訪ねて(5)」
学校行事になるとほぼ毎回、報道機関の取材かのように来校し写真を撮っている人物がいる。筆者も当たり前のようにその光景を見てきた。今回、取材を任されて役場を訪ね、誰なのか判明した。それが今回の主人公の阿部涼太さんである。阿部さんは埼玉県出身で、一度埼玉県の高校に入学したが、2年生の途中にお父さんの実家のある苫前町の本校に編入したという。編入学当初は、普通科から商業科への編入で商業科目に戸惑ったという。それでも、放課後や別室学習をとおして同学年の生徒に少しでも追いつこうと努力した。その成果もあって、全経簿記検定2級、全商電卓検定1級を取得した。
苫前商業高校に来て良かったと言えることは、人見知りが以前に比べてなくなったということ。少人数という環境であったことで、緊張する場面が少なかったこと。校内において色々な場面で発表する機会や、未来ビジョンミーティングなどに参加して人と関わったことがきっかけになったという。今では地域に顔なじみも増え、人の中に入って取材することも苦にならなくなった。現在は、苫前町役場総合政策室総合政策係主事補として苫前町広報の編集を担当している。役場職員を志したのは、在学時に地域にお世話になった恩返しがしたいという気持ちになったことがきっかけだという。令和3年3月に本校を卒業し4年目の勤務である。この取材当日は、普段は自分が取材する側なのに取材されているのは落ち着かないと恥ずかしそうな表情が印象的であった。現在担当している広報「とままえ」が町民の皆様に必要な情報を届けるとともに、楽しみにしてもらえるものにしたい。そのためにレイアウトや文章の勉強は常に欠かさない。そして、少しでも町のPRに貢献できることがやりがいであり、将来の夢であると本人はいう。(町長になるのと質問したが、そんな大それたことは考えていないとの回答だった)
後輩には「悔いの無いように1日1日を過ごしてもらいたい。そのためには、先生方や大人の話をしっかり聞いて理解することが大切。その意味がいつか分かる日が来ると思うが、早くわかることに越したことはない」と伝えたいと話していた。もし、自分が後輩のために協力できることがあれば積極的に協力したいと言っていたことが心強かった。
文・写真:苫前商業高校地域連携委員
虎野 正嗣
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