第5回市議会定例会で、岩倉市長は令和6年度の市政方針と予算案を示しました。市政方針では、財政基盤のさらなる強化を図るとともに、ふるさと苫小牧のために全力を尽くす強い決意を表明しました。
苫小牧市長 岩倉博文(いわくらひろふみ)
■はじめに
◇1 市政への想い
私が市長に就任し、今年は5期目の折り返しの年となります。公約の基本目標として掲げた“財政秩序を守りつつ、財政基盤のさらなる強化を図り、20年先を見据えたまちづくりの実践にチャレンジ!”し、ふるさと苫小牧のために全力を尽くす所存です。
我が国の総人口が減少する中で、本市においても平成25年(2013年)をピークに人口が減少に転じ、今もなお減少幅が拡大している状況にあります。特に生産年齢人口の減少は、本市の財政運営に大きな影響を及ぼすことが懸念されており、更なる行政改革の推進、税収の確保や新たな税外収入の獲得など、持続可能な財政運営に向けた基盤の強化がこれまで以上に重要となります。
将来の財政負担を念頭に置きながら、苫小牧駅を中心としたまちなかの再生や老朽化する公共施設の対応に道筋をつけるとともに、時代の変化を捉えた施策を展開することにより、本市がこの先も発展を続け、市民の皆様が安心して生活を送ることができるように市政の舵取りに挑んでまいります。
また、市長就任当初から、信頼される市役所づくりを目指してまいりましたが、職員の資質が問われる事態が発生しており、今一度、公務員倫理の遵守を徹底し、信頼回復に努めてまいります。
◇2 時代認識
ロシアによるウクライナ侵攻が終わりを見せず、イスラエルとハマスの紛争が激化するなど、不安定な世界情勢が続いています。
国内においても物価高騰による市民生活への影響が続くなど、社会経済情勢の先行きが不透明となっています。
また、昨年末には国立社会保障・人口問題研究所による新しい地域別将来推計人口が発表されました。本市においても総合戦略をもとに人口減少対策に取り組んでまいりましたが、当初の想定を上回るスピードで人口減少が進むものと推計されており、更なる対応が必要となっています。
一方で、千歳市への次世代半導体企業や、本市への大規模データセンターの進出は、産業拠点都市としての成長を加速させる大きなチャンスとなります。
さらには、地球規模での温暖化対策が求められる中、ゼロカーボンシティへの挑戦を宣言している本市が脱炭素先行地域に選定されたことも追い風になるものと捉えています。
このような時代の転換期にあっては、社会の潮流をいち早く捉え、巡ってきた好機を確実につかみ取るべくチャレンジを続けることで、明るい未来が見えてくるものと確信しております。
◇3 まちづくりの姿勢
令和6年度は現行の人口ビジョン及び総合戦略が最終年を迎えます。最新の人口推計をもとに分析を行い、新たな総合戦略を策定してまいります。
産業拠点都市である本市におきましては、生産年齢人口の確保は大きな課題であり、まちの魅力の一つの柱として“子育て世代に手厚いまちとまこまい”の実現に向けた取組を加速させてまいります。
また、まちの顔ともいえる駅前の再整備に向けて、引き続き関係者との協議を重ねるとともに、様々な角度からアプローチすることにより、一日も早く解決への道筋をつけてまいります。
産業分野においては、国家プロジェクトともいえる最先端企業の進出を契機に、関連する企業の誘致と新たな雇用の創出に向けた取組により、産業基盤を整備してまいります。
さらには、本市が成長戦略として掲げている、“ものづくり産業のさらなる展開”、“臨海ゾーンにおけるロジスティクスの展開”、“臨空ゾーンにおける国際リゾートの展開”を推進してまいります。
環境分野においては、CCSプロセスを有する本市が、国内の脱炭素社会構築をけん引するトップランナーとして、ゼロカーボンシティの実現に向け取り組んでまいります。
あらゆる分野において、まちの魅力を高め、新しい魅力を創造し、そしてその魅力の発信を強化することにより、人口減少を抑制し、影響を最小限に抑え、持続可能なまちを目指してまいります。
◇4 政策における共通理念
近年の急激な社会経済情勢の変化により、行政課題は複雑化しており、複数の分野に及ぶ課題も顕在化しています。これら行政課題の解決に向けて強調すべき視点として、“人が集まる魅力の創造”、“ゼロカーボンシティへの挑戦”、“産業都市としての更なる飛躍”の3つを掲げております。
あらゆる施策を推進する上で、この3つの視点を強く意識して取り組み、未来につながるまちづくりを進めてまいります。
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