北海道立総合研究機構における8つの農業試験場の一つとして、畑作(小麦、馬鈴しょ)、牧草に関する品種開発などの試験研究に取り組む北見農業試験場は、本庁舎が築65年を経過し老朽化が顕著なため、庁舎の建て替え工事が進んでいます。完成は令和7年度の予定です。
◆新庁舎の主な概要
・構造規模…鉄筋コンクリート造・木造地上2階建て
・延床面積…1,484.26平方メートル
・工期…令和6年5月~令和8年1月
◆新庁舎の主な特徴について
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)の認証を令和6年7月31日に取得しました。
ZEBとは、設備などの高効率化などによる省エネルギー化と太陽光発電設備などの再生可能エネルギーの導入により、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることをめざした建築物です。
道内の農業試験場では第1号の認証となります。
◆新庁舎の脱炭素化への取り組みについて
設計一次エネルギー消費量を国が定める基準から71%の削減をめざします。
(1)地中熱ヒートポンプ式エアコンやLED照明などの高効率な設備などを導入した省エネ化の推進
(2)両面に庇(ひさし)やバルコニーを設置し、夏季の日射を遮蔽。廊下にエコボイド空間を設け、ナイトパージ(夜間換気)を活用し、各室からの外気をハイサイド窓から屋外へ排出した熱負荷の軽減
(3)傾斜屋根を活用し、太陽光発電設備(30w)を設置した再生可能エネルギーの導入
(4)道産木材を利用し、2階の構造を木造化するとともに、一部壁はCLTパネル(板を繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料のパネルで耐火・耐熱・断熱性が優れている)を採用
◆品種開発について~馬鈴しょ新品種「ゆめいころ」の普及に向けた取り組み
北見農業試験場の主な役割である試験研究の一環で、町からの委託を受けて令和6年度から令和8年度の3年間、生食用馬鈴しょ「ゆめいころ」の普及促進に向けた生育特性および食味の評価に関する研究に取り組んでいます。馬鈴しょ新品種の「ゆめいころ」は、令和3年に優良品種に認定され、令和6年より一般栽培が開始されました。平成19年にジャガイモシストセンチュウが初めて町内で確認され、令和3年にも発生しており、発生ほ場拡大防止のために、町内作付けの馬鈴しょジャガイモシストセンチュウ感受性品種を全て抵抗性品種に置き換える必要が出たことから、今年から訓子府町でも数件で栽培され、令和6年秋に店頭販売されました。
◇ゆめいころの主な特徴(男爵と比較)
(1)男爵並みの早生で多収である
(2)ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ
(3)そうか病への抵抗性が優れる
(4)芽が浅いので、皮の廃棄が少ない
(5)煮崩れが少なく、煮物向き。食味はあっさり、しっとりしている
「ゆめいころ」の品種名は、担当者の研究職員を中心にいくつか候補を挙げ、その中から「ゆめ」(夢)と「いころ」(アイヌ語で宝物)を合わせて命名しました。「ゆめいころ」の普及に向けて、今後も継続してJAきたみらいや訓子府町馬鈴薯耕作組合、町と連携しながら研究に取り組み、試験結果の定期的な情報提供などを通して、地元試験場としてこの地域の農業を支えていきます。
問合せ:北海道立総合研究機構 農業研究本部 北見農業試験場
【電話】47-2146(代表)
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