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自治体の皆さまへ

ELEZO社の社長 佐々木章太さんにインタビューしました(2)

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北海道豊頃町

Q:食材づくりとして、一貫生産管理体制を築いていると伺いましたが、なぜ一貫した体制を構築していこうと考えたのでしょうか?
A:食に限らず分業化の中で、戦後から効率的に成長しなければならない側面が背景にあって、その中で陰になっているもの、その中で生まれた弊害に目を背けないという気持ちがあった。効率性と品質は時として合致しないところがあって、効率を求めるがあまり抜け落ちている部分とか満たされない部分が必ず生まれる。大企業ばかりが注目される一方で、職人の方はどんどん減ってきたり、ニーズが無くなっている。みんな効率的で安い物、早くできるものに偏って、本当に大切なものを見失う危惧を感じていた。純度の高い品質は、自分たちの体にとっても、感性や文化などにとっても大事なもの。大切なものをもう少し見直そうよという気持ちがあって、それは質を追求していかないといけない。その前提で、例えば農家と飲食店の関係でも、その農家さんはうちのためだけに作っているわけじゃないから、そこまで突き抜けたことをする必要もないしできない。会社が違うので、そこまで言いたくても言えない。ギリギリのラインで気を使いあって品質に繋がる行為ができない、というものを感じていて、それが1点目。もう1点は、すべてのフードチェーンの起点は生産者起点であり、最終表現の場である料理人たちの意見を起点としたフードチェーンがあってもいいんじゃないか。共創であっても「こういうモノをうちは使いたい、だから作ってくれ」っていうぐらいの熱意をもって良いものを作っていかないと品質には絶対繋がらない。
それら2つの想いのもとに、小さくても強いロールモデルを完成させたいと決心しました。どれだけ大変でも完成した暁には、例えば料理をしながらちょっと違うなと思ったものは明日から変えられる。明日から生産のスタイルを変える、その意思や意見というのは全部集約されて、常にアップデートされていき、とことん質に向き合えるじゃないかと思った。完成するまでは非効率の極みみたいなものだが、自分たちが目指すものは大衆に向けた製品ではないので、その突き抜け方も1つのあり方だと割り切り邁進した。儲かればいい、有名になればいいという製品には一貫性や整合性がなく、全部チグハグになってしまう。そういうものに人は魅力を感じない。感じたとしても一過性のもので、そこに投資し続けるのはすごく怖い。できることなら独自性が強く、あそこにしかないものっていう価値ある場所とか役割になっていきたいなと。

Q:豊頃町の方々に伝えたい想いはありますか。
A:自分自身の経験上、何もしないと何も生まれない。心折れた時、馬鹿にされた時、心なき批判や実情と違う批判をされた時に腐っていても何も生まれない。自分の意志を固めて思い切り描く理想に向かっていかなければ幸せとか、魅力は絶対に生まれないので、それを各産業、住民の方々、各職員の方々で良くなるために動こうよと思う。せっかくこの土地で共に人生を過ごしているのであれば、一人ひとりの力で、みんなの協力で圧倒的に良くしていきたい。ただ指をくわえて与えられることを待っていたり、何もしなければ行き着くところ住民同士の愚痴しか言わなくなると思う。それだと切ない。豊頃町外の人たちに羨ましがられるような豊頃町にしていきたいと願っている。

Q:目指す「食文化」の展望はなんですか?
A:シンプルに美食の町にしたいと思っている。本当にここにしかない、ここでしかできない、世界中の美食家たちが集まるくらいの町になったらと夢を見ている。美食の町にすることで他産業や地元商店が潤うようにしなければいけない。そのために、できる限り戦略的に奥地に美食のコンパクトシティを創りたい。どこの国も観光客の利便性を叶えるがあまり国道の入り口や空港周辺を栄えさせる。それでは町全体の事業者が潤わない。例えば、奥地に行くためにガソリンを入れていくとか飲み物を買っておこうとか。大小問わず様々な効用が波及する策を考えることもやり甲斐のひとつ。それが大津地区になればと奮闘している。
もっと具体的な想像をひとり膨らませているが、これは自分たちだけでは絶対にできないので、地元の方々や生産者の方々とタッグを組んでいかないといけない。ただ、地域に貢献できる自分たちを作らなければ地域に貢献できないと思っていて、夢を語る前に自力を高めないと手を繋ぐに値しないと自分たちに言い聞かせてこれまでやってきた。来年で創業20年を迎え、今までも本当に名誉ある評価をいただいてきたので、これからは豊頃をはじめ十勝の方々と意味のある、新しいことをしていきたいなと思っている。世界に誇る豊頃町のトップブランド食材を地元生産者と挑戦したい。町内の人や製品、食材と一緒に創造したり、そのものを高めていく深い関係ができればいいと思っている。

◇オーベルジュ「エレゾ エスプリ」
オーベルジュとは、フランス発祥の「地方や郊外にある宿泊施設を備えたレストラン」のことです。宿泊が目的のホテルと異なり、食事が目的となる点が違いです。
「エレゾ エスプリ」には3棟のヴィラがあり、最大2名様3組までとなります。ご宿泊以外のお食事のみのご予約も可能です。

◇ジャパンタイムズ「Destination Restaunts List」(デスティネーションレストランリスト)
「Destination Restaunts List」はジャパンタイムズが主催する日本発信のレストランセレクションで、“日本人が選ぶ、世界の人々のための、日本のファインダイニング・リスト”として2021年に発足し、毎年日本各地に点在する「東京23区と政令市」を除く場所にある、様々なジャンルの魅力的なレストランを10店を選出するものです。このリストは(1)「日本の風土の実情は都市よりも地方にある」と考えること、(2)「地方で埋もれがちな才能の発掘を目指す」こと、(3)「既存のセレクションとの差別化を図る」ことの以上3点から、あえて地方に限定しています。
選ばれた10店に優劣はありませんが、その中から選出された代表する1店が「Restaurant of the Year」として選出されます。
参考:【HP】https://authentic-japan-selection.japantimes.com/jp/

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