■「友人の勧めで会員登録…契約するときは慎重に!さまざまに変化する悪質商法」の巻
髙安ユミ子消費生活相談員
皆さんは消費者が事業者の販売員になり、商品を他の消費者に売る立場になる「マルチ商法」をご存知でしょうか?
特定商取引法で「連鎖販売取引」として規制されている販売形態ですが、その名称は「ネットワークビジネス」と呼ばれたり「副業ビジネス」などとも呼ばれています。
契約する際にはそのシステムをよく理解することが重要です。また、詐欺的な勧誘もあり、注意が必要なため、今回はトラブル事例をご紹介します。
◆事例
・マッチングアプリで知り合った女性にセミナーに誘われた。このセミナーを人に紹介するとお金がもらえるという。断り切れずにセミナーの契約をしてしまった。
・SNSで知り合った人とカフェで会い、ネットワークビジネスの説明を受けてスマートフォンで加入手続きや商品発注をしたが、クーリング・オフしたい。
・出会い系アプリで知り合った人に誘われ、高額なビジネス教室の契約をしたが、後から「契約を取ってくればマージンが入る」と言われた。マルチ商法ではないか。解約したい。
・「月額料金を支払うと安く旅行できる」と勧誘されて会員制クラブに加入した。後で調べたところ、マルチ商法の組織であると分かったので、退会したい。
Q:連鎖販売取引とはどういった商法ですか?
A:友人・知人をセミナーやオンラインサロンに誘って組織に加入させた後、商品販売で利益が得られると勧誘して消費者を販売員にさせる取引です。会員になった消費者は他の会員を増やすことによって得られる報酬などが主な収入となりがちです。取扱商品は健康食品・化粧品の他、アクセサリー、美容機器などさまざまです。また、インターネット上の権利や会員権など実態が分からないものもあります。
Q:どのようなトラブルが多いですか?
A:最初に自身が商品を購入する場合や後から購入する場合があり、会員を増やすことができずに在庫を抱えてしまうトラブルや、勧誘者から利益が出ると説明されクレジットや消費者金融で多額の借り入れをしてしまい、借金だけが残ったといったトラブルも報告されています。また、友人・知人を勧誘する仕組みのため、被害者が加害者になってしまうことになります。
◇ここがポイント
マルチ商法における代表的なセールストーク例
・「月収100万円も可能、人を紹介するだけでマージンが入る」
・「新しいネットワークビジネスで早い者勝ちだ」
・「簡単に元が取れる、借り入れしてもすぐに返済できる」
問題点:
・勧誘者が友人・知人のため断わりづらい
・強引な勧誘や長時間にわたる勧誘を受けるなどで人間関係が壊れるなどの問題もある
・直接の対面勧誘でなくても携帯電話やパソコンメール・交流サイト(SNS)の広告で勧誘する手法がある
◆相談員からのアドバイス
特定商取引法上のマルチ商法(連鎖販売取引)では、氏名等の明示、禁止行為、書面交付、広告の表示、誇大広告の禁止をしており、クーリング・オフ(書面交付から20日間)の他、中途解約・返品ルールなどがあります。
クーリング・オフ期間を過ぎていても契約から90日以内の場合は支払ったお金の一部返金が可能な場合があります。
トラブル等で困ったときは早めにご相談ください。
▽相談員からのお願い
消費者庁では、スマートフォン用のアプリのライセンスを購入すると、そのアプリを第三者に利用させることで利用料が入り、お金がもうかるといった「もうけ話」を令和3年4月以降に勧誘された、または契約した方からの情報提供をお願いしています。
詳細:
・消費生活相談所
【電話】28-0585
(南6-2社会福祉協議会内)
平日 午前10時〜午後3時30分
・役場住民課住民生活担当
【電話】28-3858
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