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生きたヤマを活用した技術継承で、世界に誇る炭鉱技術を海外へ

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北海道釧路市

日本唯一の坑内掘稼行炭鉱である釧路コールマイン株式会社では、現在も海底下から石炭を生産しています。
この生きたヤマを活用し、培われてきた炭鉱技術は、海外産炭国へと技術継承され高い評価を得ています。また、日本唯一の坑内掘稼行炭鉱だからできる取組として、脱炭素、落盤や自然発火、メタンガスの流出防止など、保安対策の強化にもつながる新技術にも積極的に取り組み、世界から注目を集めています。

■釧路炭鉱のこれまで
幕末の1856(安政3)年、開港した箱館(函館)港へ石炭を供給するため、現在の益浦の海岸で北海道初の石炭採掘が行われ、1887(明治20)年頃からは石炭の近代的採掘が進められます。
1920(大正9)年には「太平洋炭礦(たんこう)株式会社」が設立、日本各地の炭鉱と比べいち早く「機械化炭鉱」として稼働し、多くの技術革新により1977(昭和52)年度には、年間261万トンの生産量を誇りました。
石炭需要の低下により、太平洋炭鉱の閉山が決まり、地元経済界や北海道、釧路市等自治体、関係諸機関の支援・協力のもと2001(平成13)年12月27日に「釧路コールマイン株式会社」が設立、太平洋炭鉱閉山翌日の2002(平成14)年1月31日に509人を採用し操業を開始しました。

■現在の釧路炭鉱の取り組み
日本は世界でも有数の石炭輸入国であり、国内需要量の99%以上を海外からの輸入に依存しています。これからも戦略的に、国際規模での海外炭の安定供給確保を図るため、釧路コールマイン株式会社の優れた技術を活用した受入・派遣研修を実施しています。
また、2021(令和3)年度からは環境にも配慮した事業として、CO2を坑内払い跡に充てんする実証試験も実施しています。「石炭の利用」と「利用後のCO2の削減」を考え、豊富な海底資源を最大限に活用し、炭鉱だからこそできるCO2の排出削減に向けて取り組んでいます。

■炭鉱技術海外移転事業~世界に誇る技術力を釧路から海外へ~
釧路コールマイン株式会社では2002(平成14)年度から現在まで、産炭国であるベトナム・中国・インドネシア・コロンビアに対し、生きたヤマを活用した技術継承を進めており、海外産炭国からの研修生が釧路コールマイン株式会社をフィールドとして研修していくことで、海外炭の安定供給や産炭国への国際貢献につながっています。研修では、機械化採炭、通気保安、救護、保安監督管理などの技術向上を図っており、研修対象国から高い評価を受けています。
これまでの長年の実績と経験によって培われ、現在も「生きた現場」で磨かれ続ける優れた採炭・保安・管理技術を伝えることで、対象国の石炭生産量が向上し、災害発生率が大幅に減少するなど成果を上げています。また、市では、研修生が釧路で快適に過ごし、日本文化の理解促進を図ることを目的に、関係団体と連携して研修生と市民との交流事業を支援しています。

■払い跡充てん炭酸塩鉱物化実証試験~国内唯一だからできる新しい挑戦~
釧路コールマイン株式会社では2021(令和3)年度から国の補助を受け、関係大学および研究機関の協力による分析や技術的なアプローチを得ながら「払い跡充てん炭酸塩鉱物化実証試験」を行っています。この試験はCO2を石炭灰に注入し、石炭灰に含まれる酸化カルシウムと酸化マグネシウムに結合・鉱物化させて古い坑道に充てんしていくというもので、脱炭素はもちろん、落盤や自然発火、メタンガスの流出防止など、保安対策の強化にもつながります。
日本唯一の生きた炭鉱だからこそ可能な実証試験であり、釧路コールマイン株式会社による新たなカーボンリサイクルの可能性として、現在も進められています。

◇旧太平洋炭礦炭鉱展示館で現場にいるような体験ができます
釧路の石炭は、ボイラーなどで燃やすのに向いている一般炭で、含まれる硫黄分が0.2~0.3%と少ない低公害炭でもあり、火力発電所等で利用されています。
旧太平洋炭礦炭鉱展示館では、釧路の炭鉱が歩んできた道のりや石炭がどのように掘られているのか等を学ぶことができます。特に模擬坑道では、実際に石炭採掘の現場にいるような体験ができます。

住所:桜ケ岡3-1-16
【電話】91-5117
休館:水曜日、年末年始
料金:大人300円、子ども200円
※10人以上の団体割引あり
開館時間:午前10時~午後4時

問合先:釧路市石炭産業対策協議会(市役所産業推進室内)
【電話】31-4550

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