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こどもたちの未来を育む ~保育の現場から~ ~vol.3~

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北海道音更町

最終回となる今月号では、長年に渡り本町の保育事業の第一線でご活躍されている、白木幸久さんにインタビューさせていただきました。
保育現場の今をお届けします。

白木 幸久さん
社会福祉法人 音更福祉事業協会
音更認定こども園 園長
社会福祉法人音更福祉事業協会理事長。音更西保育園の園長として約30年の経験を持つ。平成28年4月に音更認定こども園に移行し、現在その園長。また、音更町子ども・子育て会議の代表を務めている。

■緑豊かな自然と広々とした空間に恵まれた園
音更認定こども園は、音更町初のこども園であり、十勝管内では初の私立こども園として設立されました。定員210人、職員60人で社会福祉法人が運営する園としては、北海道最大の幼保連携型認定こども園です。音更市街の中心に位置し、緑豊かな自然と広々とした空間に恵まれています。当園は、小学校入学前のこどもは誰でも入園できる環境を提供しています。
併設の音更子育て支援センターでは、親子で遊ぶコーナーや相談コーナー、有料の一時預かり保育も実施しています。
また、幼保小接続を意識し、小学校入学後も円滑に教育が受けられるよう「小学校との架け橋プログラム」を実施しています。卒園児の多くが音更小学校に進学するため、協力しながらアプローチカリキュラムを編成しています。就学前教育は「遊びで学ぶ」ことを重視し、生きる力の基礎を築く場として位置付けています。町全体で幼児教育の質を高める取り組みとして、公開保育も開催しました。

■苦境でも祝福しあうチームワーク
こども園は、生まれて間もない乳幼児が通う園であり、命の安全と健康を守ることが最優先課題です。園では、重大事故を招きかねない、ヒューマンエラーを防ぐために毎月環境改善委員会を開催し、産業医の協力を得て改善に努めています。
その結果、令和3年度に文部科学大臣表彰を受けたことは、真剣な取り組みが評価された証としてうれしく思っています。また、職員の働きやすい環境づくりも重要であり、子育て家庭を支えるためには職員自身が支えられる必要があります。
開園から8年が経ち、新卒で採用した職員はみな結婚し、産休や育休を取得しながらも退職せずに働き続けています。
産休・育休は負担が大きいものの、職員の結婚や出産は喜びとして祝福し合い、チームワークを大切にしながら困難を乗り越えていく姿勢を目指しています。

■保育サービスの現状
平成25年に第1回音更町子ども・子育て会議が開催されて以来、『音更町子ども子育て支援事業計画』が第1期・第2期と策定され、今日まで至りました。この間、就労の高まりによって少子化が進む中でも、3号認定(0・1・2歳児)では入園希望者が増加し、待機児童が発生するおそれが出ていました。いつでも入園可能な体制を構築するのは難しい課題ですが、音更町ではおおむね事業計画にのっとり、保育サービスが進められてきたと感じています。
特に注目すべきは病児保育です。音更町には、事故や怪我、発病など、病後のみならず、発症した場合にも対応できる病児保育が整っていることが特筆すべき点です。もちろん、こどもが怪我や発病などで健康が危ぶまれるときには、親が身近に対処できるのが一番です。本園でもその事情を十分理解しており、仕事中に急なお迎えが必要になった場合には、早退のために急きょ保育体制を組み替えたり、病児保育を利用するなどして園活動の維持に努めています。
ただし、子育てには社会的なサービスだけでなく、職場や身近な人の協力も欠かせないと考えています。

■こどもが主体の仕組みづくり
保育現場では、こどもの成長のために特別な支援が必要なこどもたちが増えています。音更町では、その支援を行うために多くの事業者が取り組み、サービスの量的拡大が図られてきました。特別な支援サービスを利用することによって、我が子が「普通」ではないというレッテルを貼られることへの戸惑いや抵抗感もあるかと思いますが、これは一時的にこどもの成長に必要とされることなのです。「普通」ということがグラデーションのように広がりを見せています。全てのこどもが主体となって育まれるために、保護者にとって利用しやすく、負担とならない保育サービスの仕組みが求められます。
乳幼児期を幸せに送ることで、大人になってからも幸せな人生を送る可能性が高いことが知られています。人生の「はじめの100か月」における育ちがウェルビーイング(幸せ)な状態になるよう、長い人生の中で人格の基礎を築くスタートが非常に重要です。こどもへの関心を高め、こどもが大事だと思われるように、それぞれの立場からの子育て支援や応援団づくりに励んでいきたいと思います。

■これから保育士を目指す人へ
新年度、新規職員募集に当たり、卒園児からの応募がありました。卒園して14~15年が経ちますが、保育士を目指し続けてくれたことをうれしく思いました。
かつて保育士は人気職業でしたが、現在はその数が減少しています。保育士の仕事は、単なる子守りではなく、こども一人一人の発達を的確に支援する子育てのプロであり、社会的評価も高まっています。特にコロナ禍や災害時には、エッセンシャルワーカーとしての役割が重要視されました。
保育士はこどもの命を預かる責任ある仕事であり、成長に関わる喜びがあります。しかし、過去の悲しい事故やマスコミの報道が影響し、学生の不安をあおり、保育士専攻の学生が減少していることはとても残念なことです。保育士の処遇の改善や働き方改革は年々進み、働きがいのある職場に大きく変わっています。
保育サービスの充実には人材確保が不可欠です。こどもが好き、保育士という「人間として歩き始めたこども」の笑顔づくりに励む職に就いて、一緒に笑いませんか。保育士ではなくても、子育て支援員としての研修資格は年配者でも取得できますので、ぜひチャレンジしてください。

問合先:役場子ども福祉課保育支援係
【電話】内線538

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