■有終の美しき空
鷹栖町長 谷 寿男
鹿児島県知覧町にある「富屋食堂」を舞台にした演劇「有終の美しき空」が10月26日(土)に、たかすメロディーホールで上演される。
北成地域づくり委員会と劇団isonoの合同公演であり、脚本・演出を手掛けている不破さん(北成地区集落支援員)が、あいさつに来られ、「戦争というシリアスなテーマで、町の出演者だけで配役されていますが、皆さん限られた時間で集中して稽古しており、当日は期待して鑑賞して欲しい」と話された。
「特攻隊」の出撃基地の知覧飛行場の近くにあった「富屋食堂」は、日本軍の指定食堂であり、女将であった鳥濱トメさんは若き特攻隊員たちの母とも言われ、出撃前の食堂で語られた真実は、平和な現在に生きる私たちに何を語りかけるであろう。
私の祖父も傷痍軍人であり、松葉杖をついて生活していたが、厳しい語り口から私は好んで近づことはなかった。
しかし、私が役場に就職し、自分の車を持ったことを知ると、よく連絡をくれ「醤油や砂糖をまとめて買ったから取りに来るように」などと用事を作り、訪れると嬉しそうに笑みを浮かべ、多弁に語り、大人扱いをしてくれたことを思い出す。
1945年に終戦し、来年で80年の節目の年を迎える。
今を生きる私たちが、悲惨な歴史を見つめ直すためにも「有終の美しき空」は大きな役割を果たし、中学生以下を「無料」とした主催者の想いが多くの町民に、そして子どもたちに伝わることを願っている。
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