■平和の尊さ
鷹栖町長 谷 寿男
10月号でお知らせした演劇「有終の美しき空」を観劇させていただいた。町民だけの出演にもかかわらず、戦時下の明日の生死さえも分からぬ、厳しい時代を家族のため、お国のためと愚直に生きてきた姿を誰もが好演され、会場には涙があふれていた。
私も若い兵士達が自分の息子や町の子供たちと重なり、幾度となくハンカチを握りしめた。
日本のような平和国家では「戦争」は、絶対にありえないと信じて疑わなかったが、身近な町民の方が演じると、視覚から心に伝わる熱量も圧倒的に熱く感じられた。
一方、北海道新聞の11月9日、10日で連載された「記者がたどる戦争」では、東桜子記者が町郷土資料館「英霊の部屋」を起点とし、戦死された町民の訃報を伝える手紙や、復員はしたが戦場での殺人に心を痛める旧軍人の懺悔の日々なども取材されている。
軍服や軍隊手帳、日記、千本針などと一緒に戦没者の遺影も多く並べられ、記者の言葉を借りれば、部屋の前で思わず棒立ちになったというのが本音だろう。
しかし、現代に生きる私たちが平和な時代になるまでの歴史と変遷を学び、教訓にすることが、重要であることを気づかせてくれたと訴える。
郷土資料館には、教育委員会や郷土史研究家など先人たちが考え抜き、後世にも継がなければならない重要な史料や収蔵品が管理保管されている。
収集した先人たちの想いを深く理解し、将来に継ぐ責任世代は私たちに他ならない。
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