◆『深呼吸をする然別湖』
師走に入るとヒトは何かと大忙しですが、然別湖は本格的な冬の到来に向けて、ゆっくりと深呼吸を繰り返しているように感じます。
気温は寒い日、暖かい日を繰り返しながら、最低気温を徐々に更新していき、降る雪は日中に融けてしまう量が減り次第に根雪へとなっていきます。
夏には木々の香りが濃く感じた森も、木々が冬の眠りにつきだすとその香りが薄まり、澄んだ冬の匂いだけになりました。
時折、木の枝に積もった雪がその重みで粉砂糖をふるかのように落ちてくるのが、こっくりこっくりと居眠りをしては目を覚ます仕草にも見え、ゆっくりと冬に向けて準備を進めているように感じます。
湖は夏の日差しに温められた水温も、冴えわたる星空がその熱を上空に奪い、湖水は岸近くから凍りだしていきます。氷の成長は一様ではなく、風の向きや風速、雪や気温によって変化していきます。日々、湖面を見つめていると「今年はじっくりと凍っていくな」「今年は一気に凍ったな」と氷を作り出すお天道様の年毎の気分の変化が目に見えて分かり面白いです。さて今年はどのような凍り方を見せてくれるのでしょうか。年により湖の全面結氷する日は2週間ほどの差があるのですが、年末までには湖水面は氷に覆われていることでしょう。この予想には少し希望的観測も含まれています。なぜなら、
湖水面の氷の厚さ次第で冬季間に然別湖氷上で開催される『然別湖コタン』に関係してくるからです。12月に結氷し、その厚みをどんどん増していってほしい。然別湖との共作と言っても過言ではないイベントなので、「どうぞ凍れが来ますように」と、空に湖に手を合わさずにはいられません。
然別湖では、ヒトの動きも野生の生き物たちの動きもとても静かな12月ですが、じっくりと準備をする、季節の移ろいをゆっくりと身体で感じていく、大切な時季ではないでしょうか。
写真・文/然別湖ネイチャーセンター
【URL】https://www.nature-center.jp
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