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自治体の皆さまへ

地域おこし協力隊通信

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北海道鹿部町

学習支援(英語)担当 S・R 隊員

学び場が開講されてからまもなく2年が経過しようとしています。この2年間、多くの児童生徒が黙々と課題に取り組み、成果を上げてきました。
教職をリタイヤして10年が経過した現在、彼らを支援する中で私や主人(算数・数学担当)が、改めて考えたことや感じたことを以下に記しました。

◆1 勉強するための原動力・動機
昨年度から学び場を担当し感じていることは、目標(将来の具体的な職業)をもっている児童生徒が多いということです。そして、彼らの多くは目標を達成するために一生懸命に勉強しています。
「目標をもつこと」こそが勉強するための原動力・動機になることを彼らによって再認識することができました。

◆2 理解できない問題を解決するための方策
学び場の学習システムは基本的に自習です。そして、理解できない問題を我々支援員に質問して理解しています。学び場は、自習つまり自主的な学習がコンセプトであるため、教師が主になって一斉指導を行うことは原則ありません。
したがって、「質問する」ことが理解できない問題を解決する最善の方策であると考えます。

◆3 学力が伸びる児童生徒に共通する特徴
2年間の学び場での支援を通して、学力の伸びが顕著である児童生徒に共通する特徴が顕在化してきました。以下に列挙します。
(1)「休まず」きちんと出席する。
(2)「集中」して問題に取り組む。
(3)理解できない問題を必ず「質問」する。
(4)同じ問題を「複数回反復」する。
(5)問題集を「最後まで」やり遂げる。
以上の全てを満たしている児童生徒における学力の向上は、至極当たり前であると考えます。

◆4 児童生徒の変容
年度当初と現在の児童生徒を比較してその変容は次の通りです。

(1)1回の授業が1.5時間(途中休憩あり)という長さであるためそれに耐えられず時計ばかり見ていた(特に小学生)が、現在は集中力がつき1.5時間を普通に感じているようである。

(2)当然のことであるが、学び場では「ながら勉強(例:音楽を聴きながら等)」を一切認めていない。おそらく家庭でながら勉強をしているであろう児童生徒は、当初静かな環境に耐えられなかったようである。しかし、現在は床にペンを落とした際の音でさえ室内に響き渡ることを考えると、静まり返った環境下での学習が当たり前になってきている。

(3)質問する児童生徒が増加している。この傾向は学年が上がるごとに(特に中2、中3)顕著に見られる。特に、中3は受験生であるため、学習に対する取り組みが意欲的であり、1.5時間の授業で質問が絶え間なく見られる。

(4)年度当初は、授業を開始した際、何を教材として学習するかを決めていない児童生徒がいたが、現在は授業開始とともに各個人の課題に直ぐに取り組み始めるようになった。ほぼ全員が授業の開始前に予め、何を勉強するかを決めているようである。

(5)年度当初は我々支援員に慣れていない状況もあり、質問して分かった際も表情は硬かったが、月を追う毎に嬉しそうな表情を見せるようになってきた。我々支援員も嬉しく感じている。
ちなみに、質問して理解できた際、我々支援員に対して全ての児童生徒が必ず「ありがとうございました。」と感謝の言葉を述べている。嬉しく感じるとともに彼らに対する責任感も同時に生まれ、身の引き締まる思いである。

(6)保護者から、「学び場に通うようになってから家庭でも勉強するようになった。」、「学び場に通うようになって成績が上がった。」等の声がある。我々支援員は児童生徒の成績を詳細に把握してはいないが嬉しい限りである。

◆5 我々支援員の意識の変化
我々支援員は、スローライフを送るために北海道に移住してきましたが、熱心に勉強する学び場の児童生徒と日々接するようになり、我々にも(忘れていた)勉強に対する意欲が沸いてきました。
学び場での支援準備に毎日4時間前後を費やしていますが、その他に、「英会話の勉強」や「日本で一番難しい(と言われている)数学の問題集への取り組み」を行っています。また、札幌や函館の書店に頻繁に出かけ専門書等を読み込んでいます。学び場の児童生徒に負けないよう今後も勉強を継続します。

来年度は、地域おこし協力隊としての学習支援が最終年を迎えます。最後の1年間を児童生徒の学力向上のために微力ながら尽力したいと考えます。そして、英語や算数・数学の学習を通して、多くの児童生徒が、「学習することの意味や価値」を理解し、「わかることの喜び」を体験できるよう支援します。

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