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自治体の皆さまへ

地域おこし協力隊通信

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北海道鹿部町

学習支援(算数・数学)担当 S・M隊員
同(英語)担当 S・R隊員

令和4年4月より、地域おこし協力隊の一員として、「しかべ学び場」において児童生徒への学習支援を行って参りましたが、あとわずかで任期を終了します。
そこで、今回の通信では3年間を振り返り、我々が考えたことや思い等を記したいと考えます。

◆1 3年間の支援に関する事例及びその考察
(1)学び場は、原則「自習を行い、理解できない問題を教師に質問して解決する」という形態を採用してきたが、多くの児童生徒にとって好評であった。理解できない問題のみを質問する形式の授業であるため、一斉指導の形態(理解済みの問題の解答・解説も含めて確認する授業)とは異なり、時間を有効に使うことができ、学習の効率が上がったためであると考える。
(2)原則、自習の形態ではあるが、時には一斉指導の必要な場面(ほとんどの児童生徒が既習事項を理解していない場合等)があるため学年別の授業で効率よく指導することができた。また、児童生徒同士で学び合う場面も多々見られた。3年前の学び場の開始時に、各学年・各教科の授業日と時間帯を固定して開講しているため、同学年の同進度の児童生徒のみのクラス編成が奏功したと考える。
(3)我々は教科書や問題集のどのページを質問されても、確実に解答・解説ができるよう準備をする必要があり、このことを確実に実践できた。児童生徒個人における問題集への取り組みの進度が異なるため、現在の学習単元より以前の単元の質問を受けることがあったためである。このことは、自習という形態を採用している学び場の利点の1つであると考える。
(4)残念ながら、毎年、年度途中でリタイアする児童生徒が数多く存在した。特に小学生にこの傾向が顕著であった。小学生には将来の(漠然とした)夢や目標のない場合が多いため、学習意欲が湧かないことが原因であると考える。対して、中学生には高校入試を突破するという具体的な目標があるため、リタイアが少ないと考える。

◆2 学び場の児童生徒の良好点
(1)3年前の開講当初より、私語をせず静かに黙々と各自の課題に取り組む習慣が現在も継続しており、学び場の素晴らしい伝統になっている。
(2)質問を積極的に行う児童生徒が多く、各種テストで良い成績を収めている事例が多々ある。
(3)出席率の高い児童生徒が存在する。特に、今年度、某小学生は12月末現在、算数、英語の合計70回以上の授業を1回も休まずに参加している。学習に対する意欲の高さに感心している。
(4)特別な事情がない限り、遅刻する児童生徒は存在しない。時間を遵守することは、将来、社会に出てからも重要で、かつ信頼を得るための習慣であり、このことがきちんと身に付いている。

◆3 学習支援員としての自己研鑽の実際
(1)3年間、各教科の指導理論や指導法および心理学関係の勉強に時間をかけて取り組んだ。札幌や函館の書店に頻繁に出かけ、1日中各教科の書籍や問題集を読み込んだことは今後の我々の生涯学習における礎にもなると考える。また、学び場の学習支援員として、児童生徒に学びの範を示す気持ちを3年間もち続けることができたことに充実感を覚えている。
(2)令和4年度および5年度に、道外よりICT教育に精通した講師を複数名招き、その理論及び実際の教育現場での実践に関する事例を聞く機会を設けた。当時、教職をリタイアして10年以上が経過していたため、実践に関する事例が特に新鮮であり、かなりの内容を吸収することができたと実感している。
(3)各教科の特性を活かした研鑽を実践した。数学の醍醐味は、難問を解く際あらゆる理論を駆使し、それらを複雑に組み合わせて正答に向かうが、解答の途中で1回でもミスをしたら絶対に正答には辿り着けないということである。そのことを多数回経験したいと考えたため、全国難関国公私立高の約600題の入試問題に取り組んだ。正解する都度、大きな達成感を得た。英語を学ぶ究極的な目標は、海外の方々と英語での会話を行い、心を通わせることである。そのことを経験したいと考え、SNSを駆使し、彼らとの英会話を数多く経験した。特に、我々がかつて居住した南アフリカ共和国の方々との英会話は最高の喜びであり、楽しみでもあった。

◆4 保護者の皆様へ
ここからは、学び場の保護者だけではなく、鹿部町の全保護者に向けて記します。多少でも参考になれば幸いです。意志が強く、目標をもった児童生徒でなければ、自らを律し自主的に勉強に向かうことは困難です。ですから、保護者の皆様のご支援が必要です。そこで、僭越ながら次のことを提案させていただきたいと考えます。
(1)お子さんの勉強に常に興味関心を示してください。「数学は何を習っている?」、「英語はどんな勉強をしている?」等の声掛けを日々行い、それらのことを話題にしてください。子どもは親の興味があることを頑張ろうとします。釣りの好きな父親の子どもが釣りに興味をもったり、陸上の好きな母親の子どもが陸上を始めたり…等、沢山の好例が存在します。
(2)勉強がいかに大切かを皆さん個人の考えで話してあげてください。我々学習支援員の考えは次の通りです。勉強は理解することは勿論重要ですが、理解を得られなくても常に頭を働せ、解決しようという姿勢をもち続けることが大切です。そうしなければ、現在だけではなく将来に渡って必要な場面で頭を適切に使うことができなくなります。自転車に乗らずに放置しておくと、チェーンが錆びて動かなくなることと同例です。

機会があれば再度、当町の児童生徒のために数学や英語の指導に携わりたいと考えています。そのため、来年度以降、生涯にわたり各専門教科である数学や英語の研究を継続していく予定です。
残り少ない任期ではありますが、最後の授業まで精一杯支援をする所存です。

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