■真の子育てとは
いすみ市長 太田洋
今、日本は深刻な少子化や結婚しない人たちの増加に見舞われています。思い返せば、平成4年、日本経済は高度成長の階段から滑り落ち、長い不況の時代に入りました。平成10年、私が県庁に勤務していた時、ある講演会で著名な学者が、早いうちに日本は少子化、人口減少期に入るだろう、そのためにも今やるべきことは単に経済支援でなく、女性の働く環境の整備、具体的には給与面、休暇取得の他、保育所のあり方、結婚から出産、産後ケアなど子育てができる社会体制をつくるべきであると話していたことをよく覚えています。
振り返ると、30年前から、国が、子育てのトータル計画をしっかり作り、実行していれば、今になって子育て支援を経済面で支えることばかりに時間を費やすことはなかったと思うと残念でなりません。子育ての経済支援は、すでに地方自治体が実施しているので、国としての子育て支援でやるべきことは、女性が経済的に恵まれ、自立できる体制をつくり、安心して子育てができる環境をつくることだと思います。
今、大切なことはもっと大きく、この日本の将来のため、女性が安心して結婚し、子育てができるためには何が必要か、また、何が欠けているのかを国会で議論することだと思います。ヨーロッパでは現に20年前から少子化の危機を感じ、あらゆる対策を講じています。次の世代に自信をもって伝えられる子育て政策を、国でしっかりと議論して欲しいと思います。私たち自治体はできることをしっかりと行い、若い世代も高齢者も幸せに安心して暮らせるいすみ市を目指していきたいと思います。
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