■日本の進む道は
いすみ市長 太田洋
最近、日々のニュースで、悲しい事件や社会の様々な出来事が報道されています。特に、コロナ後、社会経済は大きく変わり、もはや先の見えない状況に入ったと言わざるを得ません。また、各地での戦争により世界経済は益々混迷し、国民の多くが物価高によって生活が苦しくなってきています。
報道によると、今年の春の賃上げは5%強になったといわれています。とても喜ばしいことですが、では、どれだけの企業が賃上げできたのかを考えると、首をかしげたくなるのも事実です。東京に本社を構えている大企業は良いとしても、地方で仕事をしている中小企業はどれくらい賃上げできたのか考えてしまいます。
日本の工場生産の主力は中小企業で、その技術と知恵は、経済の原動力になっています。過日、私の知人が会社をたたむといってきました。父の代からの事業を受け継ぎ、精密機械の部品を作っていましたが、親企業の経営不振、物価高などで採算がとれなくなってしまったそうです。一方では賃上げをし、一方では日本経済を支えてきた中小企業が廃業に追いこまれる、これは一体どういうことだろうかとしばらく考えこんでしまいました。
日本の未来はこの美しい田園、里山風景にあります。ここで人々は暮らし、生産活動をしています。何より大切なことは日本を支える土台である中小企業、そして地域を支える農業、水産業をこれまで以上に活性化させることではないでしょうか。農業においても、世界有数の技術を持っています。これをもとに、食料自給率を上げ、公共調達の方法で農業を経済の中心に持っていくべきであります。日本が現在置かれている状況から脱するためには、今何をすべきかを考える必要があります。
辿ってきた道は遠くなってしまいましたが、過去を振り返り、現在の状況から日本の未来に続く道がどのような風景になるかは、これからの私たちの行動にかかっています。今こそ、民間、行政が手を組んで努力し、明るい風景が描き出せることを願っています。
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