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ふるさとあの日あの時間-The History vol.90

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千葉県九十九里町

風薫る五月となりました。若葉の香りを浴びながらの行楽日和の季節、バス旅行を思います。昨年、私が会員となっている「九十九里町郷土研究会」は、旧いわし博物館の残存資料を整理しました。その折、本町の歴史を物語る数枚の写真を発見しました。その一枚、「上総片貝駅と東金駅行きの乗り合いバス」を見ていますと、昭和三〇年代前半の子供時代が色々思い出されてきます。本町、特に片貝で生まれ育った七十歳以上の方は、懐かしい思い出が、走馬燈の如く浮かんでくることでしょう。
「九十九里鐵道株式会社」のボンネット型バスの車体は、確か赤と黄色の太い線のツートンカラー。方向指示器は、ランプの点滅ではなく、兎の耳形の物が運転席の左右両側に付いていて曲がる時ピョンと上がり、合図をしました。旧豊海町の海岸で育った私は、東金の八鶴湖(はっかっこ)の桜の時期には母親に連れられて「貝塚納屋」や「不動堂」のバス停から乗りました。桜見物の客で満員の車内は、お母さん達のよそ行きの着物から漂う樟脳の香りで一杯でした。「広瀬」「床屋前」を過ぎますと、目の前が急に開け、東金の山が見えてきます。終点東金駅では、「カネボウ毛糸」の宣伝歌を聞きながら♪紺の制服身につけて、いたバスガールに切符を渡して降りました。嗚呼、懐かしい。
(九十九里町文化財審議会委員 齊藤功)

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