■「からだの健康はお口から!」
歯科口腔外科 大和地 正信
皆さん、こんにちは。東千葉メディカルセンター歯科口腔外科の大和地(やまとじ)と申します。
さて、わたしたち総合病院の歯科口腔外科は、一般の歯医者さんと少し違って、いわゆる持病をもった患者さんの治療にあたっています。そのためお口の中だけでなく、常にからだ全体のことを意識して治療をしています。そこで、お口とからだの健康について、少しだけお話しさせていただきたいと思います。
人のお口の中には、400種類以上の細菌(バクテリア)が、数千億個も住んでいるといわれています。これらの細菌は、お口の中のおそうじをちょっとでもおろそかにすると爆発的に増えてしまいます。歯と歯ぐきの境目にみられるプラーク(汚れ)は、これら細菌の固まりです。細菌は、さまざまな物質を出し、炎症(痛みや腫れ、出血や膿)の原因となります。また細菌は、歯を支えている骨を少しずつ溶かしていくので、歯がぐらぐらしてうまく嚙めなくなったり、さらに進行すると歯が抜けてしまったりすることがあります。以前はこの状態を「歯槽のうろう」といっていましたが、今は「歯周病」と呼んでいます。
歯周病が進行すると、このようにお口の中にさまざまなトラブルが起きるだけでなく、次のようなからだ全体の病気の発症や症状の悪化に影響することがわかってきました。
▽歯周病によって発症・進行すると考えられる主な病気
1.心筋梗塞・狭心症
歯周病を起こす細菌が血液の中に入り、心臓の冠動脈という血管の細胞にダメージを与えます。同じようなメカニズムで、脳卒中の原因にもなるとも考えられています。
2.誤嚥性肺炎
高齢者や体の抵抗力が弱まった方では、お口の中の歯周病を起こす細菌が気道を通って、肺で炎症を起こすことがあります。
3.糖尿病
歯周病と糖尿病はお互いに関係しているといわれています。歯周病を起こす細菌は、血糖値を下げるインスリンの効果に影響を与え、糖尿病の発症やそのコントロールを左右するといわれています。
この他にも、低体重児早産や骨粗鬆症などが歯周病と関係しているといわれています。
お口はからだの一部ですから当たり前のことかもしれませんが、お口の中をきれいにすることは、からだ全体の健康にもつながります。そのことをちょっとだけ意識して、日々の生活を送ってみてはいかがでしょうか。
問い合わせ:東千葉メディカルセンター
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