東千葉メディカルセンターコラム
「運動による心疾患への効能」
循環器内科 副部長 金枝 朋宜
心疾患を予防するには、適度な運動はとても良いと言われています。
一言で運動と言っても、どういったものが運動なのか、また、適度な運動とはどの程度のものなのか、正直分からないという方もいらっしゃると思います。
今回は心疾患の予防に良いと言われる運動についてのお話です。
運動には大きく分けて有酸素運動とレジスタンス運動があります。前者は、大きな筋肉を一定期間リズミカルに動かす運動であり、歩行やランニング、水泳、サイクリングなどが含まれます。後者は、筋肉抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返して行う運動であり、筋力トレーニングなどが含まれます。双方を行うことが望ましいですが、高血圧、脂質異常症、糖代謝異常、肥満などの生活習慣病予防や治療に対しては有酸素運動の方がより推奨されています。
運動による負荷の強度を示す数値をMETsと言いますが、3METs(中強度)以上の有酸素運動を1日30分以上、週3回(できれば毎日)行う、あるいは週150分以上行うことが良いと言われています。
また、座位や臥位でいる時間(身体的不活動)の増加は狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患の危険因子です。運動を行うとともに、座位でいる時間を減らすことも重要です。家事や職場での歩行など、低強度(2.9METs以下)の身体活動であっても心疾患の発症を有意に減少させます。
下の表は運動強度の図です。一般的にイメージする左側の運動だけでなく、右側のような生活活動でも十分効果があります。こちらも参考にしていただき、日々の生活の中で運動を取り入れていただければ幸いです。
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