平成6年に開館した佐倉市立美術館は、開館30周年を迎えた令和6年11月16日(土)、来館者200万人を達成しました!
市民の皆さんに親しみを持って芸術に触れてもらえるよう、今後も地域に根差した美術館を目指し、さまざまな取り組みを行っていきます。
■市民に身近な芸術文化の拠点
佐倉で、才能が開花する。̶これは佐倉市のキャッチコピーですが、佐倉では、昔から才能ある多くの人々が育ち、それぞれの分野で活躍、歴史にその名を刻んできました。そして、それは芸術の分野においても例外ではありません。
市立美術館に、佐倉ゆかりの人物の銅像があることをご存知ですか?その人の名は、「浅井忠」。まだ西洋画に馴染みがなかった明治時代に、黒田清輝と並んで洋画家として活躍。後進の育成にも力を尽くし、画家としてだけでなく、教育者としても優れた功績を残した人物です。
市立美術館では、佐倉の「芸術文化の拠点」として、彼の作品をはじめ、佐倉・房総にゆかりのある芸術家たちの作品や美術資料を調査・収集・保管しています。収蔵した数多くの作品たちは、年に数回開催する展覧会で一般公開されています。
現在、市立美術館では、浅井の作品を含む「佐倉・房総ゆかりの作家たち展(収蔵作品展)」を開催中です(12月22日(日)まで。観覧無料)。ぜひ、郷土が生んだ芸術家たちの作品に触れてみてください。
■お話ししながら美術鑑賞?
市立美術館では美術をより楽しむために、展示室で作品を観ながら対話する「ミテハナ鑑賞会」を定期的に開催しています。
対話型鑑賞とは、一つの作品をグループで観覧し、思ったことや感じたことを言葉にして共有しながら作品を鑑賞する方法です。市立美術館では「ミテ*ハナさん」と呼ばれる鑑賞ボランティアのかたがたが、作品と鑑賞者の間をつなぎます。作品をじっくりと見て「作品の中で何が起こっているのか」「どこからそう感じたのか」自分の考えを言葉にしてお話ししながら鑑賞すると、1人で作品を見ている時には気が付かなかった作品の細部や、同じ作品を見ていても感じ方は人それぞれであるということに気付けるはずです。
子どもから高齢のかたまで、年代を問わず誰でも一緒に参加できる鑑賞会ですので、ぜひお気軽にご参加ください。
・私たちの活動内容や、鑑賞会の詳細は、ミテ・ハナソウ佐倉のホームページ(右記)をご覧ください!
※二次元コードは、本紙をご覧ください。
■元々は銀行だった
市立美術館のエントランスホールは、1918年(大正7年)に旧川崎銀行佐倉支店として建設された建物です。
佐倉市が誕生した70年前には市役所庁舎として利用され、その後公民館、図書館、資料館などとして利用された後、美術館のエントランスホールとして活用されることとなり、現在に至ります。
千葉県指定有形文化財(建造物)に指定されているこの建物は、今も昔も同じ場所から佐倉を見守り続けています。
■近代洋画の先駆者 浅井 忠(あさい ちゅう)(1856-1907)
浅井は、佐倉藩士の子として江戸に生まれ、7歳から約10年間を現在の佐倉市将門町で過ごしました。この頃、佐倉藩士の黒沼槐山(かいざん)から日本画の手ほどきを受け、「槐庭(かいてい)」という雅号を与えられます。
のちに浅井は上京し、工部美術学校でイタリア人画家フォンタネージから本格的な西洋画を学び、日本初の洋風美術団体・明治美術会の創立に参加しました。1900年(明治33年)に渡仏、当時隆盛を極めていた芸術運動「アール・ヌーヴォー」に刺激を受けて陶器や図案も制作しています。帰国後、浅井は京都に移住し、聖護院洋画研究所などで後進の指導にあたる一方、京都の図案家と工芸家による研究団体を結成するなど、工芸図案の改革にも力を注ぎました。
市立美術館では、浅井の絵画と図案、その図案の漆器などを所蔵しています。
▽千葉県立美術館では、開館50周年記念特別展「浅井忠、あちこちに行く―むすばれる人、つながる時代―」を開催中
浅井が残した4つの日記を含む、計350点以上の浅井忠作品・研究資料から、知られざる人物像に迫ります。
会期:令和7年1月19日(日)まで
開館時間:午前9時~午後4時30分(入場は午後4時まで)
入館料:一般…1000(800)円 高校・大学生…500(400)円
※かっこ内は20人以上の団体料金、中学生以下・65歳以上・障害者手帳をお持ちのかたと介護者1人は無料
※アンケートに答えた高校・大学生などは入場料無料
※休館は毎週月曜日(1月13日(月)は開館)、1月14日(火)、年末年始(12月28日(土)~1月4日(土))
問合せ:千葉県立美術館
【電話】242-8311
■美術分野における「佐倉学」の役割を担っています
佐倉市立美術館 平野館長
美術館、芸術と聞くと、日常生活から少し離れた存在に感じるかもしれません。しかし、ここ佐倉市立美術館は自分たちの郷土が育んだ芸術・文化とのつながりを重視し、学校と連携した「子どもたちが美術と出会う場の提供」など、美術分野における「佐倉学」の役割を担っています。大正時代の銀行建築がひと際目を引く市立美術館は、展示作品だけでなく、巨大なモニュメントやちょっと変わった椅子など、誰でも気軽にアートに触れることができる施設です。
令和7年1月末からは当市ゆかりの金工家・香取 秀真(かとり ほつま)の展覧会も開催しますので、ぜひ市立美術館へお立ち寄りください。
佐倉市立美術館!…GC’
開館時間:午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
・今後開催を予定している展覧会情報などは、ホームページからご覧ください
※二次元コードは、本紙をご覧ください。
問合せ:市立美術館
【電話】485-7851
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