■在宅療養で家族をみとる
自宅で夫をみとった伊藤和子さんと、担当したホームヘルパー、訪問看護師にお話を伺いました。
◇伊藤和子さん(中央地区)
夫の具合が悪くなってケアマネジャーに手配をお願いし、ホームヘルパーさんにオムツ交換などで1日2回来てもらいました。ヘルパーさんは手際よく仕事をしながら、夫に合わせて野球の話や相撲の話をしており、感心しながら聞いていました。
その後、夫を自宅でみとると決め、主治医に相談し、訪問してもらう医師を頼みました。先生は「家が病院で、医者と看護師がいると考えればいい。何かあったら訪問看護事業所へ電話すれば、夜中でも飛んで来ます」と話しました。実際に、電話すると看護師さんがすぐに来て、テキパキと処置してくれるのでいつも安心でした。
訪問看護を頼んで5日目のこと。夫に呼ばれた気がしてそばに行くと、苦しそうに見えたので急いで訪問看護事業所へ電話しました。看護師さんがすぐに来て、必要な処置をしてくれました。私の子どもたちはそのとき仕事で、心細かったところにヘルパーさんも来て、「お子さんが来るまで頑張れ」と元気づけてくれました。その後、先生が来て「低酸素です。もう1回往診に来れたら…」と言って帰ったら、その15分後に夫は息を引き取りました。夫は自然に、穏やかな最期を迎えることができたように思います。
在宅診療を引き受けて24時間見守ってくれた先生など多くの皆さんの支援があったからこそ、私も頑張れたのだと思います。感謝の気持ちでいっぱいです。
◇ホームヘルパー・荻久保さん
医師、訪問看護師、ホームヘルパーでチームを作り、和子さんの負担を軽くできるようサポートしました。また、ご主人にとって、ケアをする30分なり1時間が楽しいひとときとなるよう努めました。
最期の時を迎えてからは、きれいな姿で旅立てるようご主人の体のケアなどをしながら、ご家族が集まるまで和子さんとご主人のそばに寄り添いました。
◇訪問看護師・英(はなぶさ)さん
伊藤さん宅には、最期の5日間に毎日1時間程度訪問しました。ケアの内容は、体調観察、医師との連携、身体ケアなどです。身体状態を観察し、現在の状況に加え、今後の予測される状態についてご家族へ伝え、みとるための心の準備をサポートしました。
さらに、容態の急変への不安に対して、訪問看護は24時間いつでも緊急連絡および緊急訪問が可能なことを説明しました。また、緊急の往診が必要な時に主治医が駆け付けられなくても「医師会24時間在宅当番医システム」で対応できることを紹介しました。
※医師会24時間在宅当番医システムとは、旭匝瑳医師会の取り組みで、11診療所と後方支援の3病院、二つの訪問看護事業所が参加して、患者の情報を共有し緊急対応できる体制のこと。
在宅療養では、医師や訪問看護師、ホームヘルパーなどが協力して、医療処置やケアの他、ご本人やご家族の不安や困りごとを解決できるよう支援しています。
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