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匝瑳探訪 No.213

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千葉県匝瑳市

■龍への願い―八日市場を歩く
今年は「辰(たつ)年」に当たります。「龍・竜」は神話、伝説上の生きもので水をつかさどる神様とされ、年の始めに龍にまつわる寺社や地名などが話題となりました。市内には龍尾寺や龍頭寺など寺の名に「龍」が使われているものが5カ寺あります。
このほど祇園祭で知られる八日市場・八重垣神社で、龍の描かれた奉納額(絵馬)を拝見しました。
縦約98cm、横約180cmの彩色された大きな額の中央部分に大きな口を開けた龍と、その右側にスサノオノミコトと見られる神が龍をにらみ付けるさまが描かれています。左下の部分には願主奈良屋藤四郎はじめ酒屋、礒屋、竹屋、伊藤、並木、柿岡などの屋号や姓を名乗る奉納者22人の名前が書かれ、「門前町」とあることから見徳寺門前、現在の万町の人たちが奉納したのでしょう。
奉納年は、1843(天保14)年3月吉日と読み取れます。この年は、1840(天保11)年2月1日晩の「八日市場の大火」から3年後に当たります。この大火で現在の八重垣神社(当時は天王宮)も焼失しており、いつ本殿や拝殿が再建されたかを正確に知る記録は現在まで見つかっていません。
当時450軒を超える八日市場村の氏子たちが総力を挙げて本殿や拝殿の再建に取り組んだのでしょう。
この額は当然拝殿に掲げられたでしょうから、1843年には再建が成ったと見るのが妥当でしょう。
天王社の祭神・スサノオノミコトが火難除けの龍をしっかりとにらみ付ける図が描かれたこの額は、二度と火災で焼失することがないことを願い奉納されたのでしょう。
(市文化財審議会委員・依知川雅一)

問合せ:秘書課広報広聴班
【電話】73-0080

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