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学芸員が選ぶ 今月のイッピン

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千葉県千葉市

Nerhol(ネルホル)《Spiraea cantoniensis》
白と黄、緑色のかたちが、ぐにゃりと歪むように混ざり合っています。一見すると、抽象画のように見えるこの作品は、田中義久(たなかよしひさ)さんと飯田竜太(いいだりゅうた)さんによるアーティストデュオNerholの現代アート作品です。本作では、野外で花を撮影した映像から数十枚ほどの画像が選ばれ、それらを紙に出力して重ね、彫られています。ですので、より正確には「写真と彫刻の間」の作品という説明の方がふさわしいかもしれません。花々は撮影の間、風に揺れていたのでしょうか。ある瞬間ではなく、時の流れが表現されています。
本作の作品名は、この植物の学名ですが、コデマリやスズカケという名称はご存じの方も多いことでしょう。また、中国が原産とされ、日本に持ち込まれたことから、コデマリは「帰化(きか)植物」とも呼ばれます。Nerholはこれまで「移動」をテーマに、植物だけでなく、人や訪れた土地をリサーチし、さまざまな対象を作品にしてきました。現代に生きる人々が、日々の暮らしの中で気付かないささいな、あるいはすでに忘れてしまった出来事について、作品たちは静かに語りかけてくるようです。

▽森学芸員
「Nerhol水平線を捲る」(11月4日まで)にて展⽰中です。

問い合わせ:市美術館
【電話】221-2311【FAX】221-2316

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