■「七、垸飯(おうばん)から生まれた大盤振る舞い」
早いもので2024年も年の瀬が近付いてきました。
家族や友人と集まって食事や宴会を催す機会も増え、ついつい気持ちも大きくなって大盤振る舞いする機会があるかもしれません。
この時期になると耳にすることが多い「大盤振る舞い」という言葉ですが、どういった由来の言葉なのでしょうか。
千葉一族が活躍した鎌倉時代には、年頭に御家人が将軍に祝膳を献上し、参列した御家人と食膳を共にする「垸飯(おうばん)」という儀式が行われていました。
同じ場で共に飲食をし、将軍と御家人の主従関係のほか、御家人同士が将軍・源頼朝との絆を介して互いに結びつく関係を確かめ合う場としての意味を持っていたようです。
鎌倉時代のことを書いた歴史書『吾妻鏡(あづまかがみ)』によれば、千葉常胤(つねたね)は、頼朝が鎌倉を本拠としてから初めての元日に垸飯を用意する大役を務め、1メートル近い大きな鯉など非常に豪勢な食膳を用意したそうです。その後も常胤はたびたび元日の垸飯の準備を務めましたが、幕府屈指の有力御家人としてだけではなく、頼朝が常胤を信頼していたこともその背景にはあったのかもしれません。
当時の重要な儀式であった「垸飯」から「大盤振る舞い」という言葉に転じたわけですが、会食が増えるこれからの時期、同じ卓を囲む相手のことを思いながらその関係を深める食事の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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