■ザ・キャビンカンパニー『ゆうやけにとけていく』
夕日が大きな窓から差し込む浴室の、湯気がホコホコと立ちのぼる湯船に首まで浸かる女の子。その目には大粒の涙が浮かんでいます。
ぼんやりと眺める視線の先には何が見えているのでしょうか。痛いのは、擦りむいた膝の傷だけじゃない。今日一日のできごとが頭の中でぐるぐると浮かんでは、悔しさや悲しさ、言葉にできない複雑な気持ちが、心に押し寄せているのかもしれません。
窓の外へ目を向ければ、光そのもののように均質な色彩でたっぷりと描かれている太陽が、ゆっくりと沈んでいくのが見えます。夕焼けの空は、温かみのある濃いピンクからオレンジへと移っていくグラデーションで表現されています。
楽しい一日ではなかったかもしれないけれど、でもきっと大丈夫。夕方のやさしい光は、そっと寄り添い語りかけているようです。
結成15周年を迎える二人組の絵本作家ザ・キャビンカンパニーの展覧会では、本作を含む絵本の数々とそれらの原画だけでなく、立体造形、映像作品など、彼らの幅広い仕事をご覧いただけます。
「ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展〈童堂賛歌〉」(1月13日まで)にて展示中です。
問い合わせ:市美術館
【電話】221-2311【FAX】221-2316
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