■岡本秋暉(おかもとしゅうき)
《白梅孔雀図(はくばいくじゃくず)》
安政3年(1856)絹本着色 一幅
摘水軒記念文化振興財団蔵
色鮮やかな羽の孔雀を、白梅や芙蓉(ふよう)と共に描く、華やかな一図。作者は、幕末に活躍した岡本秋暉(1807-62)。鳥の絵の名手として名を馳せた秋暉が描く孔雀は、羽に高価な岩絵具や金泥を多用した、超細密描写が特徴的です。
孔雀は日本に生息している鳥ではありませんが、江戸時代には日本に輸入されており、見せ物小屋などで見ることができました。リアルな鳥の図を描くために、懇意にしていた小鳥店に通ってスケッチを重ねたという秋暉も、実際に生きて動く孔雀を幾度となく観察したことでしょう。彼の描く鳥のポーズが自然で、生き生きとしているのは、そうした地道な努力の賜物なのです。
今回の岡本秋暉展では、孔雀や鷹といった大型の鳥から、鴨や燕(つばめ)のように身近な鳥まで、様々な鳥を緻密に描いた作品を多数ご紹介します。鳥のみならず、絵の中に咲く四季の花木も負けず劣らずの精密な描写が見事で、植物がお好きな方にもおすすめです。ぜひ展示室で、色鮮やかな花鳥の競演をお楽しみください。
松岡学芸員:「岡本秋暉 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師」(6月28日から8月25日)にて展示中です。
問い合わせ:市美術館
【電話】221-2311【FAX】221-2316
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