■高橋弘明(たかはしひろあき)
《猫》1930年頃/木版多色摺
あくびをしながら、四肢を突っ張って伸びをする黒猫。猫派の方なら、わかるわかる、このポーズ、と思ってくださるのではないでしょうか。鈴の付いた縮緬の丸紐が、黒い毛並みに美しく映えています。
作者の高橋弘明は浅草の生まれ。浮世絵を近代に復興させた「新版画」という分野での活躍が知られます。はじめ「松亭」の名で風景画を手がけましたが、大正末期に名を改め、より自由な制作に入りました。猫好きだったと見え、猫の絵を何点か残しています。
犬とともにペット界を二分する猫ですが、展覧会で人気なのは圧倒的に猫なんだとか。8月の常設展示室のテーマは、ずばり「動物」。展示室を闊歩するさまざまな動物たちに、どうぞご期待ください。
(常設展示室にて8月8日から9月3日まで展示)
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