■渓斎英泉(けいさいえいせん)「傾城(けいせい)道中(どうちゅう)双録(すごろく) 大磯 見立(みたて)吉原五十三対 尾張屋 えにし」
大判錦絵 文政8年(1825)頃 千葉市美術館蔵
東海道の53の宿場、出発地である日本橋、終着の地である京都を含めた55の各所をこま絵に描き、江戸吉原にある各妓楼トップクラスの遊女の全身像を大きく配した、英泉の超大作シリーズ「傾城道中双録」。遊女たちの艶やかな姿を並べたこのシリーズは大変見応えのあるものです。本図もシリーズのうちの一枚で、こま絵には大磯の宿場の情景があらわされています。中央には、尾張屋の「えにし」という遊女が、孔雀の図柄が大きく入った紫の打掛姿で、うつむきながら後ろを振り返ろうとする様子が描かれています。口元を隠し、視線も斜め下に落とした控えめな表情も、可愛らしく表現されています。帯には大きな牡丹の柄があしらわれており、着物の柄や色合いの豪華さにも目をひく作品です。
(常設展示室にて11月6日(水曜日)から12月1日(日曜日)まで展示。11月11日(月曜日)から14日(木曜日)休館)
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