■月岡芳年(つきおかよしとし)
◇風俗三十二相 おきがつきさう 明治年間西京仲居之風俗(めいじねんかんさいきょうなかいのふうぞく)
大判錦絵 明治21年(1888) 千葉市美術館蔵
幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師・月岡芳年(1839年から92年)が手がけた、「風俗三十二相」というシリーズのうちの作品です。芳年は、細部まで神経の行き届いた細やかな描写を得意としました。描かれるのは、京都の料亭で給仕をする仲居の女性です。火を点した提灯を左手でかけようとする一方で、右手は簪を髪に挿そうとしています。一度にあれこれこなす様子と、その真面目そうな顔つきから、よく気がつきそうな利発な娘であることがわかります。毛髪の描写の細かさ、暖色と寒色を大胆に組み合わせた色彩の華麗さには、芳年らしさがあらわれています。9月の浮世絵の常設展示では、明治の美人画を中心に展示します。江戸の浮世絵とは一味違った美人画をぜひこの機会にご覧ください。
(常設展示室にて10月6日(日曜日)まで展示)
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