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南房総市の民話

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千葉県南房総市

■「お豊ヶ淵(とよがぶち)由来」 第202話 生稲謹爾(いくいなきんじ)
むかし、亀ヶ原(かめがはら)のある家に、お豊というきれいな娘がいました。そのため、たくさんの若い男が言い寄ったのですが、お豊は、その中の一人と恋に落ち、子どもを授かりました。
すると、今まで言い寄っていた男たちが寄り付かなくなり、そのうち、お豊はお腹が大きくなったため、悲しんで、平久里川の淵に身を投げたのです。
そこは今、「お豊ヶ淵」と呼ばれています。平久里川が、カーブになって山にぶつかり、深い淵になっているところです。
ある時、延命寺(えんめいじ)の十代目住職が、檀家(だんか)の法事の帰りに、駕篭(かご)でその淵のそばを通りかかると、お豊の亡霊(ぼうれい)が出たというのです。
駕篭舁(かごか)きは、びっくり仰天(ぎょうてん)腰を抜かしましたが、住職が静かに駕篭から降り、亡霊に引導(いんどう)を渡し、一喝(いっかつ)すると亡霊の姿は消えたのです。その時から、お豊の亡霊は出なくなりましたが、お豊が不憫(ふびん)だと、毎年お盆の八月十五日に、延命寺住職が川施餓鬼(かわせがき)を続けていましたが、関東大震災で延命寺が大被害を受けて以降、中止になりました。

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