■市指定有形文化財(建造物)
『宝篋印塔(ほうきょういんとう)』
所在地:石堂(いしどう)302(丸山地区)
所有者:石堂寺(天台宗)
□精巧さが際立つ青銅製の塔
丸山地区の石堂寺は、奈良時代の神亀(じんき)3年(726)に開山したと伝わる、安房地域屈指の古刹です。
この石堂寺の境内には、宝篋印塔と呼ばれる、青銅で造られた仏塔が建てられています。高さは、本体だけで約3.5m、石積みの台座を合わせると5m以上となり、青銅製の塔としては比較的大きなものです。
この塔のつくりは、全体を支える基壇(きだん)の上に、お経を収めるための扉がついた基礎(きそ)、中核にあたる球体状の塔身(とうしん)、雨をよけるための笠(かさ)(屋根)、そして頂上に相輪(そうりん)が乗った構造となっています。
また造形は、細部まで技巧を凝らした意匠となっており、塔身の四方向に蓮華座(れんげざ)に乗った種字(しゅじ)(仏を表す梵字(ぼんじ))が表現されている他、笠の周りには龍頭(りゅうず)型の隅飾(すみかざり)と天女(てんにょ)・鳳凰(ほうおう)の像、基壇には唐獅子(からじし)の像が取り付けられています。
塔身に刻まれている銘文(めいぶん)には、天保(てんぽう)13年(1842)に丸(まる)村(現在の南房総市丸本郷(まるほんごう))の伊藤治兵衛(いとうじへえ)が大施主(おおせしゅ)となり、石神(いしがみ)村(現在の南房総市石神)の鈴木傳左衛門尉藤原正尹(すずきでんざえもんのじょうふじわらのまさただ)らが鋳造(ちゅうぞう)したと記されています。
ほぼ完成当初の姿を留めており、江戸時代後期の南房総に優れた鋳造技術をもつ職人たちがいたことを示す文化財です。
□公開
・常時公開
・トイレあり/駐車場あり
・マナーを守って楽しく見学しましょう。
・見学する時は、所有者・管理者の指示に必ず従ってください。
問合せ:教育委員会生涯学習課
【電話】46-2963
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