■囲炉裏(いろり)と自在鉤(じざいかぎ)-火加減 驚異のメカニズム
囲炉裏は室内の床を四角く切り抜き、炉として使用するもので、囲炉裏の起源を縄文時代の炉とする説もあるそうです。
古墳時代の中期以降は、カマドが煮炊きに使われるようになりました。また、江戸時代になると、囲炉裏も多く使われるようになりました。囲炉裏は主に居間に設置されることから煮炊きだけでなく、暖房器具としても使い勝手が良いことから比較的寒い地域で多く設置されたのかもしれません。
自在鉤とは、囲炉裏の上に付いている鍋などを下げる鉤棒です。筒(写真の竹)と横木(写真の魚部分)の中に上下する鉤棒を通して作ります。鍋を下げている状態では、鎖(魚の尻尾に付いている)と鉤棒が筒から受ける力と重さが釣り合っています。また、鉤棒には横木からの摩擦などが働いています。このため、鍋を下げた鉤棒が動かなくなるというメカニズムです。横木を床と平行にすると鉤棒の高さを変えられるので、囲炉裏の上で火加減の調整が可能です。
明治から大正時代にかけて都会ではガスが普及し、カマド・囲炉裏・自在鉤は減っていきましたが、農村では昭和30年代ごろまでカマド・囲炉裏・自在鉤は実用品でした。
現在でも囲炉裏、自在鉤を実際に使用している宿や飲食店はあるようです。また、自在鉤は制作が比較的容易なので、自作する人もいるようです。
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