■子宮頸がんが増えています
文/多古中央病院 小児科 齊藤 匡
子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することによって発生する女性に特有のがんです。女性のがんに占める割合は、20代では子宮頸がんは第5位(全がんの9%)ですが、30代では第1位の乳がん(同22%)に次いで第2位(同13%)になります。
HPVに感染してから子宮頸がんが発生するまでには数年かかりますので、ちょうど結婚や妊娠をきっかけにHPVに感染し、出産して子どもを育てている間にがんが発生することになります。子宮頸がんは検診を受けて早期に発見できれば命を落とすリスクは低くなりますが、命を守るためには子宮の一部や全部を手術で摘出する必要があります。HPVに感染することを防ぐため欧米では2006年からワクチン接種が始まりました。それが子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)です。日本でも2009年から接種が開始されましたが、副反応を過大視する声がマスコミなどによって拡散され、接種が事実上中止となってしまいました。しかしその後、副反応と思われる症状はHPVワクチンとは無関係であることが証明されたため、2022年から接種が再開されました。
現在、大きな問題となっているのは小児期にHPVワクチンを接種せずに成人した女性の方たちの間で子宮頸がんが増加していることです。そしてさらに重大な問題は、「自分はがんにならない」と思っている方が非常に多いことです。幼い子どもを残して母親が先に逝く日を想像してください。そしてHPVワクチンを接種してください。
〔病院便り〕
多古中央病院では小児科外来でHPVワクチンを接種しています。接種前に心配な点がある方は、お気軽にご相談ください。
【電話】76-2211
<この記事についてアンケートにご協力ください。>