■大人の溶連菌(ようれんきん)感染症
文/多古中央病院小児科 齊藤 匡
新型コロナウイルス感染症の流行が始まってから約5年が経ちました。この間、外出の自粛や手指消毒、マスクの着用などの感染対策が徹底されたおかげで、以前は毎年のように繰り返されていた、いろいろな感染症の流行が激減しました。しかし、最近徐々に新型コロナの流行が収まってきたため、それ以外の感染症が再び流行するようになってきました。そして、感染する人の年齢層や症状にも変化が見られています。
その一つが溶連菌感染症です。溶連菌は幼児や学童の間で流行する感染症で、「大人が溶連菌に感染することはまれである」というのが定説でした。しかし、子どもたちの間でしばらく流行がなかったため、大人の溶連菌に対する免疫が低下してしまい、大人が溶連菌に感染することが増えてきました。
溶連菌に感染したときの症状は、主に発熱と、のどの痛みで咳は出ないことが特徴でした。しかし最近では、咳が出る人や、中にはぜんそくの発作を起こす人も見かけるようになりました。「咳が出ていれば溶連菌感染症ではない」という今までの定説が通用しなくなっているのです。
溶連菌感染症の診断は、医療機関を受診すれば抗原検査で簡単に行えます。家族の誰かが感染した場合でも、何も症状がない人は検査を受ける必要はありません。しかし発熱と、のどの痛みがある場合は、咳が出ていても溶連菌の検査を受けることをお勧めします。
■病院だより
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