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サーモントラウト陸上養殖 商業プラントの操業開始に向けて(1)

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千葉県富津市

株式会社FRDジャパンが富津市の浅間山に進出

7月12日、株式会社FRDジャパン(本社:埼玉県さいたま市)が富津市の浅間山にサーモントラウト陸上養殖商業プラント(工場)を建設することが決定しました。令和8年から独自の閉鎖循環式陸上養殖により、サーモントラウト“おかそだちサーモン”の養殖を開始し、令和9年に初出荷を予定しています。
今回、株式会社FRDジャパン代表取締役Co-CEO十河哲朗さんをお迎えし、サーモントラウト陸上養殖商業プラントの操業開始に向けて、高橋市長がお話をお伺いしました。

◆富津市長 高橋恭市 × 株式会社FRDジャパン 代表取締役Co-CEO 十河哲朗
市長:まず、サーモントラウト商業プラントの進出にあたり、富津市を選んでいただいた理由を教えてください。

十河:私たちが取り組んでいる陸上養殖は、海のない地域でも魚の養殖ができ、消費地の近くで育てることで、輸送コストやCO2の排出を減らして消費地まで届けられるというメリットがあります。このため、日本の最大消費地である東京にアクセスが良く、かつ広大な土地がある場所を探していました。正直、他にもいくつか候補地はありましたが、富津市の職員の皆さんが建設予定地周辺のインフラ整備や関係者との調整に親身になって動いてくれ、工場立地に対する皆さんの強い思いを感じたことが、富津市を選んだ最終的な決め手になりました。

市長:ありがとうございます。御社の富津市への進出は、私も含め市職員にとって大きな出来事であり、とても期待しています。ところで、数ある水産物の中で、なぜサーモントラウトを選んだのでしょうか。

十河:サーモンは海水温が高いアジアの海では養殖が難しく、私たちが食べているサーモンのほとんどはノルウェーやチリなどの海で養殖されたものです。しかし、海面養殖は適地に限りがあるため、現地の海にはもうサーモンを養殖できるスペースがなく、どのようにして生産量を増やしていくかが課題となっています。一方で、近年サーモンの消費量は世界中で伸びているため、需要と供給のバランスが釣り合わなくなりつつあります。このままでは価格が高騰し、私たちにとって身近な食材ではなくなってしまいます。この世界規模の問題を打開するためにサーモントラウトの養殖に目を付けました。

市長:普段口にしているサーモンにそんな世界規模の問題があったのですね。ただ魚は海で獲る、または海面で養殖するのが一般的だと思いますが、なぜ陸上に施設をつくり養殖を行うのですか。

十河:世界的な人口増加により、水産物の需要は年々増加している中、天然漁獲量はすでに頭打ちとなっているため、水産養殖の重要性が高まっています。しかし、海面での養殖は魚の排出物などが水質や海底の環境に悪影響を及ぼすこともあります。次世代においしい魚を残すために今必要なのが、海に依存せず、環境への負担が少ない陸上養殖であるとの考えからです。

市長:台風などの自然災害で海の養殖施設が壊されてしまうことがありますが、陸上養殖であればこのようなリスクも減らせるという理由もあるのですか。

十河:はい、それはありますね。陸上養殖は台風などの自然災害、赤潮、魚の寄生虫などの影響を受けないというメリットがあります。自然界では魚の排せつ物をバクテリア(微生物)が分解しており、これを陸上に再現でき、水質を維持できれば、海と同じ環境で魚を育てることができます。

市長:それが御社が開発した「閉鎖循環式陸上養殖」ですね。これは簡単に言うとどのようなシステムですか。

十河:バクテリアの力を活用したろ過技術により、天然海水を使用せず、飼育水を閉鎖循環させながら水質を維持することができるものです。従来の陸上養殖は、魚の排せつ物を除去するために定期的に水を交換する必要がありましたが、これをバクテリアの力で分解することで、使用した水をほぼ100%再利用できます。また、天然海水を使用しないことから、魚病の感染リスクを大幅に減少させられるなど、安全・安心な養殖技術です。

市長:ちなみにサーモントラウトは一般的にどのような形で食べられているのですか。

十河:大きくは二つで、一つは刺身や寿司の生食用です。お寿司で一番人気があるネタは10年以上連続でサーモンと言われており、子どもや若い方から非常に人気があります。もう一つは焼いて食べる焼鮭ですね。

市長:実際に私たちが普段食べているものに、サーモントラウトは食材として使われているのですね。

十河:食べたことがない人はほとんどいないと思います。

市長:世界中で人気のサーモントラウトの陸上養殖プラントが、令和8年から富津市で本格稼働になると思いますが、本格稼働後、年間どのくらいの生産量を予定していますか。

十河:年間3,500トン規模のサーモントラウトを生産・販売する予定です。

市長:一尾あたりの大きさはどのくらいなのでしょうか。

十河:個体にもよりますが、一尾あたり約3キログラムです。

市長:そうすると年間で100万尾以上、1日当たりに換算すると3,000尾~4,000尾の生産量になるのですね。これだけの生産量ですと、地元としては、そこで働く方の雇用を期待したいところですが。

十河:はい。最終的には50人規模での運営を考えていますので、これから新たに25人程度の従業員の雇用を検討しています。

市長:御社が市の新たな雇用を生み出してくれることを期待しています。本格稼働に向けて、市民の皆さんにメッセージをいただけたらと思います。

十河:富津市は魚が魅力的な街だと思いますので、「富津市に来たらサーモントラウトを食べて行きなよ。」と言っていただけるような魚を我々も生産していきたいと思います。市民の皆さんとも一体となって富津市を盛り上げていきたいと思っていますので、ぜひお力添えをお願いします。

市長:すでに地元の飲食店の方からも「サーモントラウトの生産が始まったら、地元の食材として使わせてもらいたいです。」との声があります。サーモントラウトは国民全般から人気がある食材ですので、市としても、ふるさと納税などでご協力いただけると非常にありがたいと思っています。

十河:はい。ぜひよろしくお願いします。

市長:御社のサーモントラウトが富津市の新たな特産品になることを期待しています。本日はお忙しい中ありがとうございました。これからよろしくお願いします。

十河:こちらこそありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

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