■富津市・鋸南町と地域の皆さんが一体となり 鋸山の日本遺産認定に向けた事業を実施しています!
令和3年に鋸山を舞台に華開いた歴史や文化芸術が日本遺産「候補地域」に認定されました。
候補地域に認定後、日本遺産認定を目標に、富津市・鋸南町、地域の事業者の皆さんで鋸山日本遺産候補地域活用推進協議会を設立し、令和3~5年度の3カ年で、さまざまな事業に取り組んできました。
そして、鋸山の鋸南町側の日本寺を中心に展開する仏教関連遺跡と、富津市側に残る石切場跡としての産業遺跡の関連性をストーリーとしてまとめ、令和6年3月に、文化庁へ日本遺産認定申請をしましたが、審査結果は「候補地域継続」でした。
今回の「候補地域継続」という審査結果から、日本遺産認定に向けた課題や解決策を分析し、官民一体で事業に取り組んでいます。
Q そもそも「日本遺産」とはどういうものなの?世界遺産とは何が違うの?
A 日本遺産とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて、我が国の文化・伝統を語る「ストーリー」を文化庁が認定するもので、平成27年度に創設されました。現在104件が認定されています。
世界遺産は、登録・指定される文化財の価値付けを行い、「保護」を担保することを目的とする一方で、日本遺産は、文化財の価値付けや保全のための新たな規制を図ることを目的としたものではなく、地域が主体となって地域に点在する遺産を「活用」し、発信することで、地域活性化を図ることを目的としているものです。
Q 文化財を活用して地域活性化を図ることが目的なんだね。
では日本遺産に認定されるとどうなるの?
A 日本遺産に認定されると、認定された地域の認知度が高まるとともに、今後、日本遺産を通じたさまざまな取組を行うことにより、地域住民のアイデンティティの再認識や地域のブランド化などにも貢献し、地方創生に大いに資するものとなると考えます。
Q さっきからでてきている「ストーリー」とはどういうものなの?
A その地域の歴史的経緯や風土に根ざし世代を超えて受け継がれている伝承、風習などを踏まえた「物語」です。
ストーリーをつくるうえで、地域の自然、伝統的な風景、建造物、食文化、伝統産業など、さまざまな地域の財産を結び合わせて、地域の個性を深く理解できる物語にすることが必要です。
◆日本遺産「候補地域」としてのこれまでの取組(令和3~5年度)
日本遺産「候補地域」に認定後、日本遺産認定を目指し、令和3~5年度で、鋸山の魅力を磨き上げることを目的に、人材育成事業・観光事業・普及啓発事業などの各事業に取り組んできました。
これまで実施してきた主な事業内容を紹介します。
〇鋸山の魅力を伝える人材育成のために…
・「有償ガイドの育成」
鋸山に残る石切場跡や日本寺の歴史や見どころを多くの方に知ってもらうため、有償ガイドを育成しました。安全な登山の仕方や鋸山の楽しみ方など、さまざまなガイドができるよう研修を実施し、現在24 名の認定ガイドが、団体向けのガイドツアーの開催や中学生の登山学習でガイドをするなど活躍しています。
〇鋸山のストーリーを伝えるために…
・「鋸山臨海歴史遺構クルーズ」
令和4年度に、東京湾フェリー株式会社とタイアップして2種類の特別クルーズを実施しました。普段は金谷と久里浜を結ぶ連絡船ですが、洋上から鋸南町側のスポットを見学するコースと第二海堡や横浜港など、房州石が使われた歴史施設を見学するコースを周遊しました。
普段は見られない横からの鋸山や房州石の歴史を体験するツアーには、最大400名以上が乗船しました。
・「サイン・案内看板の作成」
観光客などに、鋸山周辺の見どころをしっかり押さえながら周遊できるよう案内板を整備しました。フェリー乗り場とJR保田駅に設置した大看板は、鋸山の概要、周辺地図や見どころのスポット、オススメのコースを紹介しています。
また、街中から登山道までのサイン看板や登山道中の距離の目安を示すサイン看板など、安全に登山ができるように整備しています。
◇子どもたちへの普及啓発のために…
・「鋸山の教室」
令和4年度から、富津市・鋸南町の小・中学校で出前授業「鋸山の教室」を開催しています。主に小学校5年生、中学校1年生を対象に鋸山の歴史や見どころ、魅力について、講師を派遣して解説しています。授業後にとったアンケートでは、「富津市に誇りや魅力を感じている」児童・生徒の割合が90%を超えており、小・中学生の郷土愛が育まれています。
◇日本遺産プロデューサーによる助言をいただきながら、今後の事業方針の策定に向けて取り組んでいます
令和6年8月から、日本遺産プロデューサーの本田勝之助さんの助言を参考にして、富津市・鋸南町の地域の皆さんと連携し、ストーリーの見直し、ビジョンの策定など、事業の見直しに向けて取り組んでいます。
本田さんからは、「日本遺産のストーリーは、地域の個性を語るものであり、他の地域にはない鋸山ならではのストーリー(物語)をつくることが大切であるとともに、日本遺産は地域の皆さんが主体となって地域活性化を進めていく必要があるため、地域の事業者の方が関わりやすいようなストーリー・ビジョンを構築することも重要です」とお話しをいただいています。
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