■なかまと つくろう みんなの未来
松戸ボッチャ協会(県立船橋夏見特別支援学校 高等部3年)
小林蒼翔(こばやしあおと)さん
「ボッチャは障害があるなしに関係なく、老若男女誰でも気軽に参加できる素晴らしいスポーツです。まずはボッチャをやってみてほしい。ぜひ一緒にやりましょう」と呼びかけるのは、市内在住で県立船橋夏見(なつみ)特別支援学校に通う小林蒼翔さん。
ボッチャは重度の脳性まひ者や四肢機能障害者のために考案された、パラリンピックの正式種目。目標の白い球に、赤・青6球ずつのボールをいかに近づけるかを競います。小林さんは、障害の程度によって「BC1」~「BC4」の4つに分かれたクラスのうち、自力による投球ができない最重度の障害の選手が該当するクラス「BC3」で、ボールはランプ(勾配具)を使用して転がし、高さの調整やボールの設置などの指示をアシスタントに出して競技を行います。指示は全て選手自身で決めるため、小林さんは「ルールそのものはシンプルだけど、人によってプレースタイルが違って、どの種類の球を使うか、どれくらいの強さで転がすかといった戦略を考えるのが難しいけど面白い」と目を輝かせてその奥深さを語ります。
生まれたころから脳性まひによる重度の障害を抱え、首から下を動かすことができない小林さん。座位も取れず、寝返りもできない車いす中心の生活を送りながら自分にできることを探す中、六実中1年の頃にボッチャに出会い、「自分の意志でできるスポーツなのが本当に嬉しくて、夢中でのめり込んでいきました」と笑顔で振り返ります。当初は浦安市まで月1回の練習に通っていましたが、「もっと上を目指したい」という小林さんら選手の思いを汲んで、サポーターや保護者たちと「松戸ボッチャ協会」を設立。今では毎週末、集まった仲間たちとふれあい22などでボッチャの練習に打ち込んでいて、「仲間に恵まれたことへの“ありがとう”の気持ちでいっぱい。これからも共に切磋琢磨しながらボッチャを楽しみたいです」と、周囲への感謝を胸に抱きます。
小林さんが通う同校の高等部ボッチャチーム「なっつみーズ」には、「松戸ボッチャ協会」に所属するメンバーもいて、特別支援学校などに通う肢体不自由の生徒たちが参加する「第9回全国ボッチャ選抜甲子園大会」に出場。8月に決勝が開催された同大会で、昨年3位だった「なっつみーズ」は実力校と熱戦を繰り広げ、見事に初優勝。全国から参加した43校の頂点に輝きました。
小林さんは来年1月開催の、個人戦日本一を決める「第26回日本ボッチャ選手権大会」への進出も決めていて、「目指す先はもちろんパラリンピック出場」と、更なる躍進にも期待が掛かります。ボッチャを通じて出会った仲間と一緒に歩みを進める小林さんの未来は、きっとどこまでも広がっていることでしょう。
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