■一筆に込めた思いで更なる高みへ
第57回高野山競書大会 学生の部
弘法大師賞受賞
(県立松戸六実高校2年)
星 萌々香(ほし ももか)さん
「書道の面白さは、同じ字でも書く人によって全然違う作品になるところです」と話すのは、同校書道部部長の星萌々香さん。日本有数の権威ある大会である高野山競書大会(学生の部)で、今年度の応募総数108,481点から高校生はわずか2点だけが選ばれる最高賞「弘法大師賞」を受賞しました。
母の勧めで小学2年生のときに始めた書道。楽しくて時間があれば書き続けてしまうという星さんは、「ここまで続けられたのは受賞の喜びや達成感もありますが、なによりも書道が好きだからです」と話します。
受賞作品は、世界遺産(文化遺産)に登録されている中国の龍門石窟(りゅうもんせっくつ)にある魏霊蔵造像記(ぎれいぞうぞうぞうき)から2文字を取って作品にした「魏霊(ぎれい)」。
魏霊蔵(ぎれいぞう)と薛法紹(せっぽうしょう)が国家の平安と安泰を願って釈迦像を造ったもので、この願いに共感し題材に選んだそうです。「石に彫られた文字を手本に書いた作品ですが、そのまま書き写すのではなく、作品や時代背景から作者の筆意を汲み取って、自分なりの解釈を表現しました」という作品は、力強く直線的な線質が印象的で、かすれや墨と余白が織りなすバランスで立体感をも表現しています。
昨年初めて同大会に出品したときは、自分の思い描いた通りの作品が書けずに終わってしまったと話します。この悔しい思いをバネに臨んだ今大会。表現したい線を追求し、角度やかすれ具合の練習を重ねました。実は同部顧問の蒲倉梨南(かまくらりな)先生も弘法大師賞受賞経験者。先生が書くところを見て技術や知識を学び、積極的に意見を求めたそうです。書き始めた3カ月前と比べ、大きな成長が見える仕上がりに達成感を覚えたという星さん。納得のいく作品で弘法大師賞を受賞することができ、喜びも大きかったと笑顔がこぼれました。
「今後はいろんな書体に挑戦しながらコンクールで上位の賞を目指し、書道部では書道パフォーマンスでいろんな魅せ方に挑戦してみたい」と、大好きな書道をもっと突き詰めたいと貪欲(どんよく)です。星さんの飽くなき向上心は、これからも秀作を生み出し続けることでしょう。
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