■重量挙げとの出会いで広がったつながりを大切に
埼玉栄高等学校3年
ウエイトリフティング部
蓑田 天(みのだ そら)さん
「日々の練習で試行錯誤を重ねて、自己記録を更新する重さのバーベルを挙げられたときの喜びはひとしおです」と語るのは、昨年8月に北海道で開催された全国高等学校総合体育大会(インターハイ)重量挙げ女子71キロ級で優勝を飾った松戸市出身・在住の蓑田天さん。
幼いころからとにかく体が丈夫で力が強かったという蓑田さんは、牧野原中学校ではテニス部に在籍していましたが、もっと自分に合ったスポーツを探したいと部活動が盛んな埼玉栄高等学校へと進学。入学前はレスリングに興味を持ち、部活の見学に行ったところ、偶然開催されていた重量挙げの試合を目にして心を奪われウエイトリフティング部に入部します。
「身体を鍛えることが本当に楽しいし、相手と直接対戦する競技ではない分、自分の努力でどれだけ成長できたのかをちゃんと実感できるところが魅力です」と目を輝かせて語るほど自分にうってつけのスポーツに出会い、入部直後の関東大会で3位に入賞するなど夢中で打ち込んでいましたが、思わぬ不運に見舞われます。昨年2月に駅の階段から転落する事故に遭い、右足の感覚がなくなり動かせなくなる大けがを負ってしまったのです。医師からはいつ治るのかわからないと告げられ、「もう重量挙げの世界に戻ることはできないかもと、気持ちが折れそうになりました」と不安な日々を送ること1カ月。ある日突然、足の感覚が戻ったそうです。「つらい思いをしたけれど、部活の仲間や重量挙げで知り合った人たちからの励ましの声に支えられました」と当時を振り返る蓑田さん。いろいろな人と出会い、つながるきっかけとなった重量挙げへの感謝の思いを胸に、すぐさま練習を再開。2週間後には全国大会に出場するなど奇跡的な回復を見せ、インターハイ出場をつかみ取ります。
雰囲気にのまれ失格になってしまった大会もあったそうですが、その失敗も糧にしてインターハイ本番では実力をいかんなく発揮。インターハイ初出場にして見事頂点に立ちました。優勝しても「記録的には大学生や社会人の人たちと比べるとまだまだです」と負けん気の強さをのぞかせながら、「重量挙げができることの喜びや成長をかみしめながら日々の練習に取り組んで、もっと記録を伸ばしたいです」とさらなる高みを見据えます。
重量挙げに出会って開けた蓑田さんの世界は、これからも“天(そら)”のように広がり続けていくことでしょう。
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