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先人たちの足跡 No.284

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千葉県栄町

■栄町のちば文化資産「印旛沼龍神伝説を伝える3寺」
今年新たに選定された栄町の4つの「ちば文化資産」について、9月号から12月号にかけて連載します。今月号で取り上げるのは、「印旛沼龍神伝説を伝える3寺」です。
印旛沼のほとりに3つに切られて落ちた(あるいは、3つのお寺に落ちたとも言う)龍の伝説が、当町の龍角寺と、印西市の龍腹寺、匝瑳市の龍尾寺それぞれに伝わっています。
伝説の舞台は、仏教を国の教えとして位置づけ始めた時代、今から千年以上も昔のこと。日照りで苦しむ人々を救うために、龍が雨を降らせたという物語です。
この龍伝説が、印旛沼からほど近い栄町と印西市だけではなく、少し距離を隔てた匝瑳市の龍尾寺にも伝わっていることが、まず不思議なことに思われるのですが、さらに興味深いことには、それぞれの縁起(お寺栄町のちば文化資産「印旛沼龍神伝説を伝える3寺」の由緒を書き記したもの)を読み比べると、話の中身は全く同じではなく、三者三様なのです。
異なる点の一つ目は、龍が現れた年代です。龍角寺縁起では730年(あるいは731年)、龍尾寺縁起では709年と、およそ奈良時代の出来事と伝えているのですが、龍腹寺縁起に至っては、2寺の年代と200年近くも隔てた平安時代の917年と伝えています。
時代が違えば、登場人物も違います。龍角寺縁起で雨乞い祈祷を行うのは、龍角寺の釈命上人ですが、龍腹寺縁起では、達道という人物で、龍尾寺縁起では明記されていません。
さらに、登場する龍も違います。龍角寺縁起と龍尾寺縁起では、雨を降らせた小龍と、罰を与える大龍が登場しますが、龍腹寺縁起では、雨を降らせる龍のみが大龍として登場します。
大筋を同じくしながらも、少しずつ違った形で書き残されている印旛沼龍神伝説をこの機会に読み比べてみませんか。(参考図書「五十嵐行男著『龍のきた道』」が、ふれプラ図書室にて配架中)

問合せ:生涯学習課文化財班
【電話】95-1112

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