このコーナーでは、町民のみなさんに、まちづくりの課題と今後の取組みをお知らせするため「まちのこれから」=「まちこれ!」と題し紹介していきます。
1.栄町の「今」
令和6年4月に公表された「国立社会保障・人口問題研究所の人口推計結果(下記グラフ)」のデータでは、栄町は若い女性(20~39歳)が2050年までに50%以上減少し、何もしなければ消滅の可能性があるとされました。
ただし、このデータは全国1729自治体の744自治体、約4割の自治体が該当していて、現状の人口数や年齢構成比率を統計的に分析した結果であり、現実に栄町が無くなってしまうということではなく、これから何もしなければ、財政的な面も含め、町として立ち行かなくなるとの警鐘として受け止めています。
人口減少は日本全体の問題であり、一つの町で解決できる課題ではありません。
今後も膨らんでいく社会保障費への対応やインフラの再整備を計画的に行っていくためには、人口減少のスピードを緩やかにしながらその構成比率を改善し、健全な基礎自治体を維持していくことが今の栄町には必要です。
2.成田空港の機能強化って何?
成田空港で働いている栄町の方は2022年のデータでは489人で、町外で働いている方の2割弱となっています。
その成田空港が、これから大きく変わっていきます。
現在のA滑走路(4,000m)とB滑走路(2,500m)の運用で年間30万回の発着能力がありますが、これからの国際的な航空需要の拡大に応えるため、年間50万回の運用を目指し、新滑走路の整備が進んでいます。
新滑走路は、A滑走路はそのままの運用とし、B滑走路を1,000m延伸して3,500mとして再整備、東側に3,500mのC滑走路を新設する計画で、滑走路自体は2028年度末に完成予定となっています。
なお、その後に新しいターミナルや新貨物地区の整備などがはじまり、実際に50万回運用が開始されるのは2030年代後半とされています。
この機能強化によって必然的に空港で働く人が増えることになり、その生活を支える新しいインフラ機能も必要となることから、町の最大の課題である人口減少の課題解決に向けて、空港の機能強化はとても重要な要素となります。
3.変わっていく空港周辺のエリア
今回の空港機能強化は、単に成田国際空港株式会社が空港を拡張するということではありません。
本年7月には、成田国際空港株式会社から50万回運用時において必要となる空港周辺のインフラ機能や、関係する各自治体の在り方を示した「新しい成田空港構想」が公表されました。
その中で、国や県、栄町を含む空港周辺の9市町(※1)が、新たな物流関連施設や働く人達の住宅環境整備、新しい交通手段の確保などについて地域全体が協力し合い、空港と地域が一体となって発展する「エアポートシティ」を目指すことが示され、栄町も空港関連の各協議会等での活動を通じて同意しています。
今回の機能強化に向けた地域全体としての活動は、個々の市町の考え方のみで行動していては、地域に還元される大きな経済効果を享受しきれないという危機感が共有されたものであり、空港を含む周辺エリアが変わっていく新たなスタート地点だと考えられます。
※1 空港周辺9市町(成田市、富里市、香取市、山武市、栄町、神崎町、多古町、芝山町、横芝光町)
■エアポートシティとは…
空港機能強化と国際的な産業拠点形成を図り、合わせて必要なインフラ整備、住環境整備、地域公共交通ネットワークの充実を図るエリア
※詳しくは本紙をご覧ください。
4.空港と共栄したまちづくり
町では、9市町としての連動した活動と合わせ、機能強化によって予測される様々な需要に対応するため、基盤整備をはじめ以下の3点に重点をおき、エアポートシティの一翼を担えるまちづくりを進めていきます。
(1)新たな住宅の供給
増加する働き手とその家族をターゲットとして、これまで以上に子育て施策や定住移住施策にも力を入れるとともに、人口増加策と合わせて人口構成比率の改善を目的に、空港からの近接性を活用した都市基盤整備を検討し、現在見直し作業中である栄町都市計画マスタープランの中で、令和8年度末を目途に、土地利用のゾーニングを行います。
(2)産業の誘致
増加する貨物需要等に対応しつつ、町内での雇用拡大を図る上で、矢口工業団地周辺への産業誘致を検討します。
ただし、今後は機能強化に基づく規制緩和も含めて各制度の見直しも進むことが考えられますので、他のエリアの可能性も検討し、(1)同様に都市計画マスタープラン見直しの中で位置付けます。
(3)観光(インバウンド)対応
海外からの空港利用者の増加が見込まれることから、情報配信の強化をはじめ、ドラムの里及び房総のむら周辺エリアについて、魅力度を高めるため、房総のむらにおける日本文化体験事業などとの連携を強化、さらには新たな観光資源の開発など外国人観光客も楽しめる取り組みを行っていきます。
■まとめ
成田空港の機能強化は、日本全体が人口減少に向かう中、地域として人口が増えるという特殊要因であり、町の将来に向けた議論の中心となるものです。
都市計画マスタープランおよび総合戦略の見直し、第6次栄町総合計画(令和9年度~)策定の中で、人口増加、地域経済および産業の活力を高める施策などについて具体化していきます。
問合せ:企画財政課企画広報室
【電話】33-7773
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