■栄町に伝わるヘビの昔話(一)
本年の干支である「巳(み)」にまつわる栄町の伝説について複数回にわたって取り上げます。本号と来月号で紹介するお話は「入院した白蛇」です。(以下、高塚馨編「栄町の昔ばなし」(平成17年)記載の文章を元に、一部改変して掲載。)
むかし布鎌に大変治療が上手と評判のお医者さんがおりました。
ある日の夕方のことです。体中にぐりぐりと、包帯を巻いてはいますが、どことなく気品のある一人の娘さんが、このお医者さんを尋ねてきました。そして、「川向こうの者ですが、あることが原因で、このような大けがをしてしまいました。とても通うことは出来ませんので入院させて下さい。費用は前金でお支払いいたします。どうかお願いいたします。」とお金を差し出しました。ちょうど奥の部屋が一つ空いていたので、医者はそこへ娘を案内して行きました。
部屋の前まで来たときに娘は、医者の顔をじっと見つめながら「私は、他人に自分の寝ている姿を見られるのが一番いやなのです。もし、この部屋に用事がおありのときは、必ず声を掛けて下さいませ。なお、私の身分素性は、今のところは聞かないでおいていただきたいのです。退院の日には必ずお知らせ致しますから。」と言うと、自分で戸を開けて、部屋の中へ入ってしまいました。(つづく)
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