前回の続きとして、「低気圧」のお話をしたいと思います。
天気予報等でよく聞く「低気圧」とは、周囲より気圧が低い部分のことを言います。天気図などの等圧線では窪地のように標記されている部分です。「低気圧=悪天候・雨」といったイメージがありますが、これは、周辺の空気を引き込み、引き込んだ空気が中心部において上昇気流となり、雲を発生させることによるものです。
発生の仕方と性質によって「寒冷低気圧」、「熱帯低気圧」及び「温帯低気圧」の3種類があります。
「寒冷低気圧」は、上空の偏西風の蛇行により張り出した寒気の一部が切り離されて出来た寒気により発生します。「寒冷渦」とも呼ばれ、一般の天気図(地上天気図)上では、前線を持たない小低気圧として書かれます。上層の冷気と地上の暖気により、非常に大気が不安定になり、冬季には大雪、その他の時期では集中豪雨を発生させるとともに、動きが遅くその影響が長期にわたる傾向があります。
「熱帯低気圧」は、海水の蒸発と、それが雲に変わる時の潜熱によるエネルギーで発生しますので、海水温26℃以上の海洋上で発生します。このうち、「台風」は東太平洋域で発生した熱帯低気圧のうち、最大風速が18m/sを超えた物を言います。台風が北上したり上陸した後に勢力を低下させるのは、海水の蒸発によるエネルギーが減ることによるものです。熱帯低気圧は、前線を持たず、小規模であるが中心部の気圧傾度が大きくなる傾向があるので、強い風が吹きやすい。
「温帯低気圧」は、二つの気団が接する前線部分に発生します。両気団の温度差がエネルギー源となり発生しますので、低気圧の左右に前線を従える形で、形成して移動します。一般的に、影響範囲は大きいが、気圧傾度は緩やかで、暴風を発生させる危険性は少ない。日本では、一般的な低気圧で、大陸又は東シナ海で発生し、日本列島を西南西から東北東方向に横切りアリューシャン方面に進みます。特に、冬場に太平洋南岸沿いに進む低気圧は、「南岸低気圧」と呼ばれて関東にも大雪を降らせることがあります。他の低気圧に比較して規模は大きくなりやすいが、気圧傾度は比較的緩いので風は強くない傾向があります。
天気予報等を聞くときの参考としてみてください。
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