斜面の土塊が非常にゆっくりと動くものを地すべりと呼んで、速い斜面崩壊と区別しています。地すべりは、地質の影響によるところが大きく、発生個所はかなり限定されますが、我が町を含む南房総・鴨川地区は日本でも有数な地すべり地帯です。稀に急速滑動を起こすことがありますが、一般的に滑動速度は、日量でミリ・センチ単位ですし、速くても人が歩く速度程度と言われています。実際に、人の被害はほとんど発生していません。しかし、建物・施設への影響は大きく、建物の倒壊等による人への被害は否定できません。ゆっくりと動くことで、気が付かないうちに建物等にゆがみが生じて強度が低下している可能性もあるので、普段から注意しましょう。また、大きな滑動の前には、山腹や道路に亀裂発生、急な湧水、井戸水水位の変化、地鳴り、木の傾斜等が見られる場合があります。
以上3回にわたり、土砂災害についてお話をしてきましたが、ポイントは地形と水です。
発生する災害の種類と危険性は、地形によって異なります。地区・家ごとに発生様相は異なりますので、自分の周りを確認・検討してください。特に、過去に起こったことは、将来、再度発生する危険性がありますし、斜面及び上部の改変・大規模な樹木の伐採・掘削・水路等の改変は、新たな土砂災害発生の要因になる可能性もありますので、変化にも注意しましょう。
水は直接の引き金になるとともに、兆候となっている場合が多いです。湧水・地下水・河川水の変化には注意しましょう。また、水の垂れ流し、水路やため池の新設・改変は地下水位等に影響を与えて新たな災害を起こす危険性もありますので、必ず、許可をとってから行いましょう。
最後に、過去の災害は、将来への推測に役立ちますが、「今まで土砂災害が無い」ということは「今後も災害が無い」という証拠にはなりません。雨の降り方も、昔よりも集中的になってきており、環境条件は変化してきています。「過去に崩れたことが無い」のは、「崩れない」のではなく、「まだ、崩れる土砂がある」という意識で注意していきましょう。
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