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自治体の皆さまへ

長南町認知症サポート医〔上野秀樹先生〕の認知症見立て塾[第24回]

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千葉県長南町

今月は、うつ病に伴う妄想を説明しましょう。
妄想とは、
事実ではないが、本人が確信していて、通常の説得では訂正不可能な考え
をいいます。認知症の人では、ものとられ妄想がよく知られています。うつ病でも微小妄想という、「自分の価値を実際よりも過小評価してしまう妄想」が出現します。特に高齢者のうつ病では、微小妄想が認められることがあり、それを見逃さないことが重要です。微小妄想には、心気妄想・貧困妄想・罪業妄想の3種類があります。心気妄想とは、健康面で自分の価値を過小評価してしまう妄想です。実際はそんなことはないのに、自分が重い病気にかかっていると信じ込んでしまったりします。例えばこんなケースがあります。

《70歳男性》
60歳で定年を迎え、現在は夫婦二人で年金生活をしています。
しばらく前から胃がムカムカすると訴え、内科を受診し、胃カメラをしてもらいました。医師から胃には異常がないことを説明されましたが、納得しません。自分は胃がんで、先行き長くないと信じ込んでしまっています。

実際に異常があれば、治療をすることになりますが、異常がないので、医学的な治療の対象にはなりません。本人は苦しさを訴え「こんなに苦しいのに、誰も理解してくれない」と言っています。実際に身体的な異常がないのに、身体的な不調を繰り返し訴える場合には、うつ病に伴う心気妄想の可能性があります。
高齢の方では、ひとつやふたつ、体調不良があることは珍しくありません。こうした体調不良が深い不安と結びつくことで「重い病気にかかっているに違いない」という心気妄想に発展してしまうことがあるのです。妄想なので、通常の説得では訂正されることはありません。このケースでも、医師から胃カメラの結果を説明されても、訴えは変わりませんでした。
うつ病でもっとも問題となるのは自殺です。高齢者の自殺では「病を苦にして」という動機が多く、自殺の前に何らかの身体症状を訴えて、医療機関を受診していることがあります。未治療のうつ病が自殺の原因となることもあります。

身近にいる人が気づいて対応することが重要になります。
次回はうつ病に伴う妄想、貧困妄想についてお話しします。

■YouTube「長南町福祉チャンネル」が開設されています。上野先生のこれまでの解説動画はこちらからご覧ください。
※二次元コードは本紙をご確認ください

■上野先生から認知症について学ぶ学習会を開催します。
ぜひご参加ください。
日時:7月19日(水)15時〜16時(要事前申込)
場所:保健センター

問い合わせ(申込先):福祉課包括支援センター
【電話】46-2116

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