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長南町認知症サポート医〔上野秀樹先生〕の認知症見立て塾[第42回]

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千葉県長南町

明けましておめでとうございます。
今年も認知症に関する話題を提供させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、昨年のもの忘れ外来で最も印象に残っているのが、もの忘れが心配と受診する人の多さでした。これは2019年に発生し、2020年から世界中で猛威を振るった新型コロナウィルス感染症が関連しています。人と人との物理的な接触で広まる感染症、予防するために自粛生活が推奨されることになりました。高齢者は感染すると重症化しやすいこともあり、外出の自粛、人と会うことの自粛が推奨されました。地域の集まりや、カラオケなどのちょっとしたイベントも自粛の対象となり、人とのコミュニケーションが激減していったのです。私たち人類はその高いコミュニケーション能力のために現在の繁栄を築きました。人とのコミュニケーションの機会が失われてしまうことで、もの忘れを訴える人が増えている印象があります。
認知症予防では、運動、人とのコミュニケーション、知的好奇心(新しいことへのチャレンジ)の3つの習慣が重要とされています。人とのコミュニケーションが減少し、孤独となることで、運動や知的好奇心(新しいことへのチャレンジ)という習慣も徐々に失われてしまうという悪循環が認められているのです。この悪循環には、うつ状態も大きな影響を及ぼしています。
こうした状況を少しでも変えようと、いろいろな催しも開かれています。昨年11月23日には、町民提案事業の一つとして「古民家の小さなお祭り」というイベントが開催されました。「古民家の小さなお祭り」には、スタッフも含めて60人以上の人が集まり、杵と臼を使った餅つきやお囃子を楽しみました。同じ空間を共有し、ともに活動することで、多くの人とのコミュニケーションが生まれたのです。また、高齢化社会を考える会長南は、同じ古民家で定期的に交流会を開いています。こちらの11月27日に行われた交流会では、音楽がテーマでした。音楽を聴いたり、楽器を演奏したりすることは、脳の活性化にとても有効なことが知られています。交流会では、フォークソングを演奏するバンドがミニコンサートを開きました。楽器を演奏できなくとも、歌うこと、すなわち自分の体を楽器として利用することは認知症予防にとても有効です。
2つのイベントに集まった人の中には、町内で単身生活を送る人もいて、人と交流する機会が少ないことを嘆いていたのが印象に残っています。こうしたイベントは準備も大変で、単発となりがちです。こうしたイベントをヒントに地域で人との交流の機会を設けることができればいいなと考えています。

■上野先生を講師に迎えた「認知症学習会」を毎月開催しています。ぜひご参加ください。
日時:1月15日(水)15時〜16時(要事前申込)
場所:保健センター

問い合わせ(申込先):福祉課 包括支援センター
【電話】46-2116

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