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病気の豆知識

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千葉県長柄町

■病気の豆知識~切らずに治す肝細胞癌治療~
塩田記念病院サイバーナイフセンター部長・肝臓内科部長 大木隆正

肝細胞癌は、B型肝炎ウイルスないしC型肝炎ウイルスに感染し、長い年月を経て発症すると言われる肝臓の悪性腫瘍です。しかしながら、昨今、肥満を背景とする脂肪肝や糖尿病から肝細胞癌を発症する患者さんが増えています。肝細胞癌は早期発見できれば治癒する癌ですが、一般的に無症状のため早く見つけるためには超音波の検査が必要です。B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスに感染していなくても、肥満があって脂肪肝の心配がある方は、検診で腹部超音波検査(エコー検査)を受けることをお勧めします。この検査で肝細胞癌を早期発見することができます。
肝細胞癌は、最大腫瘍径3cm以下、3個以内で発見できれば、きちんと治る治療を選ぶことができます。以前はお腹を切って癌の部分を摘出する手術が主流でしたが、約20年前よりお腹を切らずに治す方法が登場しました。ラジオ波焼灼療法(マイクロ波も同様)という治療で、細い金属製の針を癌の部分に刺して内部に電流を流して電気の熱で焼き切ります。電気メスと同じ原理を用いたもので、もちろん痛くないように麻酔をして施行します。針を刺すだけですので、傷痕はほとんど残りません。入院が必要な治療ではありますが、手術よりも回復が早く、入院期間が短期間ですむメリットもあります。治療効果は、最近の臨床試験で手術と同等と報告されています。
このような「お腹を切らない」負担の少ない治療は、低侵襲治療と呼ばれます。近年、肝細胞癌を発症する患者さんは高齢化しており、その平均年齢は73歳と言われています。70歳を過ぎると癌だけでなく、心臓の病気、腎臓の病気、糖尿病など、さまざまな持病を持っていることもあり、ラジオ波治療のような体の負担が少ない治療はとても良い治療方法であると考えます。肝細胞癌は発症しないのが一番ですが、もしできてしまってもこのような治療方法で治せることを知っておいていただければ幸いです。当院ではこのラジオ波治療を積極的に行っています。

問合せ:医療法人塩田記念病院
【電話】35-0099

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