■偽痛風をご存知ですか?
塩田記念病院 院長 整形外科
塩田匡宣
痛風という言葉をお聞きになった方は比較的多くいらっしゃると思います。痛風による痛みは、多くは足の第1趾(足の親指)のMP関節(付け根の関節)に発症します。赤く腫れ、激しい痛みを起こします。原因は尿酸が関節内の組織に沈着するためと言われています。尿酸を下げる薬を飲むことで予防できます。
一方、偽痛風は関節にピロリン酸カルシウムがたまることが原因とされています。偽痛風の痛みは、膝関節などの大きな関節に多く見られます。偽痛風の痛みが膝に起こると、発赤、熱感と伴に関節内に多量の関節液が貯まり、関節が大きく腫れることがあります。偽痛風は高齢者に多く見られ、時として痛みのために体動が困難になり、入院することもあります。確定診断は、関節液を吸引し、顕微鏡でピロリン酸カルシウムの結晶を調べることで可能です。
また、尿酸はレントゲンに映りませんが、ピロリン酸カルシウムは映りますので、レントゲン撮影は痛風と偽痛風の鑑別診断の助けとなります。ピロリン酸カルシウムを下げる薬はありませんので、治療は一般的な鎮痛消炎剤の内服を行います。痛みが強い時には関節内に直接ステロイドを注入することもあります。ステロイドの関節内注入は劇的に効くことが多く、素晴らしい治療法ですが、化膿性膝関節炎を引き起こすことが稀にあるといわれており、注意が必要です。偽痛風は膝の他に頸椎や肘、肩関節などにもみられます。社会の高齢化とともに偽痛風は増加しています。
問合せ:医療法人塩田記念病院
【電話】35-0099
<この記事についてアンケートにご協力ください。>