■治る認知症・治る麻痺-慢性硬膜下血腫-
脳神経外科 医師 近藤和樹
最近、「転びやすくなった」「物忘れが進んだ」といった症状のある方は近くにいらっしゃいませんか?特に直近で転倒や頭部打撲をされていると、”慢性硬膜下血腫”を発症している可能性があります。
慢性硬膜下血腫とは、脳を覆う”硬膜”と脳の間に血がたまり、脳が圧迫される病気です。医療ドラマでは、交通事故などで強く頭部を打撲した際に発症する”急性”硬膜下血腫に対して緊急で開頭手術を行うシーンがありますが、こちらが受傷後数時間で発症するのに対し、”慢性”硬膜下血腫は頭部外傷後1~3か月と長期間を経て出現します。外傷といっても程度は様々であり、特にご高齢の方や持病で血液を固まりにくくする薬を内服されている方では「かがんでドアノブにぶつけた」「バランスを崩して額をぶつけた」といった程度でも発症する可能性があります。
血腫が小さい場合は自然に吸収されることはありますが、最初に述べた運動障害や認知機能障害、麻痺等の症状が出現するほど血がたまると手術が必要になります。血腫の上の頭蓋骨に直径1.5cmほどの穴をあけ、そこから血を抜く、30-50分の局所麻酔の手術です。手術後は翌日からリハビリテーションで歩いていただき、血腫による症状が残っていないかを確認します。5cm程の手術傷ができますが、1週間で抜糸を行い、多くの方はそこで自宅退院となります。
比較的短時間の手術で治癒する病気ですので、ご心配な方は脳神経外科外来を一度受診してみてはいかがでしょうか。
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